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スマートシティとは?意味や背景、実現に向けた取り組みについて簡単解説

投稿日2021.3.9
最終更新日2023.06.06

「スマートシティ」とは、新しい都市のあり方の一つです。人工知能やロボットなどの最新技術と、情報通信技術(ICT)を組み合わせて実現を目指します。

この都市モデルは、「Society5.0」の一環として提唱されています。英語の“Smart”(最新の、効率の良い)と“City”(都市)の2つを組み合わせた言葉になります。

スマートシティは国土交通省や経済産業省などの多くの行政機関が関わっているプロジェクトです。

本記事では、以下の内容について分かりやすく解説していきます。

  • スマートシティの概要
  • スマートシティにより解決が期待される課題
  • スマートシティ実現に向けた取り組み
  • スマートシティの事例

本記事がお役に立てば幸いです。

1、スマートシティとは

スマートシティ
画像出典:データ利活用型スマートシティ推進事業の概要 総務省

スマートシティとは、ICT(情報通信技術)を活用しながら都市の抱える問題を解決し、社会全体の効率化を図る持続可能な都市です。

簡単に説明すると、テクノロジーを使って都市の計画・整備・管理・運営を行い、環境にも配慮しつつ可能な限り無駄をなくすことで、人々の生活を快適に発展させる都市を指します。

以前の都市発展は自然を破壊してしまうイメージが強かったですが、スマートシティが目指す姿は都市と自然の共存です。

IT、ICT、IoTの3つの柱がスマートシティを支えます。
それぞれ解説していきましょう。

(1)ITとは

IT(アイティー)は“information technology”の略で、情報技術と呼ばれます。コンピューターやネットワークなどを利用した情報技術全般を指す言葉です。

(2)ICTとは

ICT(アイシーティー)は“information  and Communication Technology”の略で、情報通信技術と呼ばれます。インターネット(通信技術)を使った情報交換を指し、メールやSNSでのコミュニケーションもICTです。

ICTはITに代わる言葉として普及しており、ICTはITを使った活用技術全般を指します。

(3)IoTとは

IoTとは“Internet of Things”の略で、パソコンやスマートフォンなど一般的なデジタルデバイス以外の自動車、家電、医療などがインターネットに接続され、人を介さなくても自動的に情報交換が行われる技術を指します。

参考:総務省 ICT利活用推進

2、スマートシティにより解決が期待される課題

我が国は現在さまざまな問題を抱えています。
スマートシティの実現により解決が期待されている課題としては以下のものがあります。

  • 少子高齢化の進行
  • 自然災害の頻発
  • 訪日外国人への対応

これらの問題とスマートシティ政策との関係性について詳しく見ていきましょう。

(1)少子高齢化進行への対応

少子高齢化の進行により、労働力不足が深刻な問題になりつつあります。スマートシティではAIやロボットの導入で労働力不足を解決することを目指しています。

特に注目を集めているのは、以下のような利用方法です。

  • 自動車の自動運転
  • ドローンの飛行
  • ロボットの運用

これらの技術を活用することで、以下のようなことが期待されています。

  • 物流サービスの運転手不足の解消
  • 都市部の警備や清掃のサポート
  • 建設現場でのロボットによる搬送、溶接

(2)自然災害への対応

台風や洪水、地震などの自然災害では、災害前と災害後の対応のどちらも重要です。事前の対策は被害を最小限に留め、迅速な救助はその後の復興にも大きく関わります。

スマートシティでは携帯電話利用者の移動情報やWi-Fiの利用情報をデータ化します。

これにより、下記のようなメリットにつながるでしょう。

  • 円滑な避難
  • 避難場所の確保
  • 食料備蓄情報の確認
  • 避難所の空き情報の視覚化
  • ドローンを使った災害発生直後の現場確認

(3)訪日外国人への対応

観光産業においては、以下のような要素が街の景観や魅力を低下させる原因になっています。

  • 道路の渋滞
  • 駐車場の乱立
  • 自動車と歩行者の錯綜(複雑に入り組むこと)
  • 観光動線と生活動線の混乱

そこでスマートシティでは以下のような対応策を実施し、観光拠点の魅力向上を目指しています。

  • ビックデータによる最適な移動動線の構築
  • スムーズな移動を可能にする自動運転バスの運行
  • 観光客データを分析した観光地づくり
  • 自動監視システムによる安全確保

(4)グローバルな課題とスマートシティ

スマートシティはグローバルな課題を解決する可能性を秘めているようです。
現在、以下のような都市部に関連した問題があります。

  • 世界人口の50%が都市に居住
  • 2050年には2010年の1.7倍の人口が都市に集中
  • 都市部が世界のエネルギーの60~70%を消費
  • 都市部が世界の温室効果ガスの60~70%排出
  • 人口と労働力の減少
  • 先進国の多くが2013年の経済成長率0~2%を記録
  • 経済回復が雇用創出に結びついていない

これらの問題を解決する糸口としてスマートシティの実現が注目を集めています。

また、スマートシティは国連で発表されたSDGs(持続可能な開発目標)にも通じており、スマートシティを実現することで、日本をより魅力ある国として世界にアピールすることにもつながります。

SDGs
画像出典:スマートシティの実現に向けて 国土交通省

参考:スマートシティの実現に向けて 国土交通省
参考:スマートシティの事例 総務省

SDGsとは?持続的な開発を理解するための5つのポイント

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3、スマートシティの実現に向けた政府の具体的な取り組み

スマートシティ
ここからは政府の取り組みについて詳しく見ていきましょう。
主に以下の府省庁でスマートシティ実現に向けた取り組みがなされています。

  • 内閣府(地方創生推進事務局)
  • 総務省(情報流通行政局)
  • 国土交通省(都市局、総合政策局)
  • 経済産業省(製造産業局)

それぞれの府省庁での取り組みについて見ていきましょう。

(1)内閣府の取り組み

内閣府では戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:Strategic Innovation Promotion Program)に関係する事業が展開されています。

SIPとは、内閣総理大臣の補佐を目的に、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案と総合調整を行う専門家会議のことです。

そのほかにも

  • 環境未来都市、環境モデル都市の指定
  • 府省、分野の垣根を超えた主導的なマネジメント

などに取り組んでいます。

参考:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー) 内閣府
地方創生SDGs・「環境未来都市」構想 内閣府

(2)総務省の取り組み

総務省では以下のようなプロジェクトを実施し、通信環境の整備も担当しています。

  • データの活用で街を発展させる「ICTまちづくり推進事業」
  • 複数分野のデータを横断的に利用する取組みを支援する「データ利活用型スマートシティ推進事業」

参考:総務省ICTまちづくり推進事業

(3)国土交通省

府省庁の中でもスマートシティの事業を多く担当しているのが国土交通省です。

  • 道路、鉄道交通等のモビリティ事業(自動運転の実装など)
    ※モビリティ:移動の効率化
  • 住宅等建物の省エネ化関連事業
  • 低炭素まちづくり計画の支援
  • エネルギーネットワーク整備
  • 非常用電気等供給施設協定制度の創設
  • 地下街の安心避難対策への支援

など、交通・土地・エネルギーの3方向から取り組みを進めています。

参考:スマートシティの実現に向けて 国土交通省

(4)経済産業省の取り組み

経済産業省では

  • 地域限定のエネルギー実験を行う「次世代エネルギー・社会システム実証事業」
  • 再生可能エネルギーと省エネについて調査を行う地方公共団体等を支援する「スマートコミュニティ構想普及支援事業」

など資源面での取り組みがなされています。

参考:次世代エネルギー・社会システム実証事業 経済産業省
参考:スマートシティの実現に向けて 国土交通省

4、スマートシティの事例

経済産業省から次世代エネルギー・社会システム実証地域として選定された神奈川県横浜市での事例を見ていきましょう。

横浜市では「横浜スマートシティプロジェクト」を2010年にスタートしました。

関連企業34社と横浜市が連携し、

  • HEMS 4,200件
  • 太陽光パネル 37MW
  • 電気自動車 2,300台

の導入に成功しました。

HEMS(ヘムス)とは 家庭エネルギー管理システムのことです。家庭の電力消費と発電と蓄電を管理し、節電を行うシステムになっています。

2015年からは横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)実証事業から横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)実装事業へと名称が変更されました。

公民連携組織「横浜スマートビジネス協議会」を設立し、防災性・環境性・経済性のあるスマートシティの実現に力を入れています。

参考:横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)とは 横浜市

  • また、三井不動産が千葉県柏市に展開する「柏の葉キャンパスシティ」では
  • 環境共生
  • 健康長寿
  • 新産業創造

の3つのコンセプトを基に

  • 駅前中核ゾーン
  • イノベーションキャンパスゾーン
  • 大学共生ゾーン

の3つのゾーンを持つスマートシティの実現を目指しています。

最新のHEMS(ホームエネルギーマネージメント)を装備した、賃貸住宅や有機栽培のための貸し農園などの利用ができます。

参考:柏の葉スマートシティ 三井物産

PoliPoliで公開されているIT関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「Web3.0」を日本の成長戦略の柱にする政策について、以下のように公開されています。
あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!

(1)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策提案者

議員名 平 将明
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/CU6xgdz9r8x0M4IpSq2y/policies

 

(2)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • Web3.0時代を見据えた国家戦略の策定・推進体制の構築
  • ブロックチェーンエコシステムの健全な育成
  • NFTビジネスの発展促進

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • 担当大臣の設置
  • ブロックチェーンエコノミーに適した税制改正
  • NFTビジネスをめぐる法令や指針の整備

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!

まとめ

今回はスマートシティについて解説しました。スマートシティが実現すれば通勤、買い物、通院に充てていた時間をキャリアアップや健康維持、趣味の時間に活かせるようになるかもしれません。

利便性だけではなく環境との調和を目指す、スマートシティは今後のグローバルスタンダートとなっていくでしょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。