政治ドットコム環境・社会医療・福祉社会資本とは?意味や社会資本老朽化問題の現状と対策

社会資本とは?意味や社会資本老朽化問題の現状と対策

投稿日2021.4.15
最終更新日2021.04.15
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

社会資本とは、私たちの日常生活や経済活動を支える道路や橋などの公共施設のことです。
今回は日本の社会資本について、以下の観点から解説します。

  • 社会資本とは
  • 社会資本の老朽化の現状
  • 社会資本の老朽化への政府の取り組み

本記事がお役に立てば幸いです。

1、社会資本とは

社会資本
社会資本とは、過去に実施された公共投資や公共事業が集積されたものです。
一般的には、道路や橋などの公共施設や建造物のことを指します。

病院や学校など、社会サービスを提供する施設、社会資本に含める場合もあります。
また、社会資本は

  • 人間関係を表す社会資本
  • 公共施設としての社会資本

の異なる意味で用いられることがあります。

(1)人間関係を表す社会資本

人間関係を表す社会資本とは、人間同士の信頼関係や協調関係を指します。

「ソーシャル・キャピタル」と呼ばれることもあります。

人々の信頼関係やネットワークの重要性を説明する学問的な概念です。

(2)公共施設としての社会資本

公共施設としての社会資本とは、道路や橋・ダムなどの公共建造物や公共設備のことです。
一般的に「インフラストラクチャー(インフラ)」と呼ばれたりします。

本記事では主に「公共施設としての社会資本」について解説します。
社会資本の具体的な施設や設備は、以下の通りです。

  • 道路や橋やトンネルなどの公共建造物
  • 鉄道や港湾、空港などの輸送機関や、それに付随する施設
  • 発電施設やガス管などのエネルギー供給施設
  • 河川や海岸の堤防や防波堤などの防災施設

これらの公共施設は、国民生活や企業活動を支える重要な役割を担っています。

2、社会資本の老朽化について

日本の社会資本の多くは、高度成長期に整備が進められました。
そこから時間が経過し、社会資本の多くが耐用年数を迎え、老朽化が進んでいる傾向にあります。

社会資本の老朽化について以下の通りご紹介します。

  • 笹子トンネルの天井板崩落事故
  • 老朽化する社会資本の増加

(1)笹子トンネルの天井板崩落事故

笹子トンネルの天井板崩落事故は、社会資本の老朽化が認識されるきっかけとなった重大な事故です。

この事故では、中央自動車道笹子トンネルのコンクリート製の天井板が130mにわたって崩落し、9名が死亡しました。

事故発生の時点で、笹子トンネルは建設から40年経過しており

  • トンネル設備の老朽化
  • 老朽化への対策不足

が事故の主な原因であることが判明し、社会に衝撃を与えました。

この事故により

  • 老朽化した社会資本の危険性
  • 更新・改修工事の重要性

が認識されるようになったのです。

事故から2年後、政府は抜本的な対策と実行計画を取りまとめ、老朽化した社会資本を維持管理するための具体的な取り組みが開始されました。

参考:笹子トンネル天井事故に関する調査・検討委員会報告

(2)老朽化する社会資本の増加

老朽化する社会資本は、年々増加しています。
高度成長期に建設された多くの社会資本が、次々に耐用年数を迎えつつあるためです。

国土交通省の調査では、建設後50年を経過する公共施設の割合は、今後急速に増えていき、多額の費用が必要になると推計されています。

以下は、「建設後50年以上経過する主な社会資本の割合」を示した表です。

 2018年3月

 2023年3月

 2033年3月

        道路橋 

      (約73万)

  

       約25%

  

        約39%

   

         約63%

      トンネル 

   (約1万1千本)

  

       約20%

  

        約27%

   

          約42%

    河川管理施設

 (約1万施設)

 

  約3%

   

  約42%

   

           約62%

 下水道管きょ

(総延長約47万km)

  

       約4%

   

         約8%

    

            約21%

  港湾岸壁 

  (約5千施設)

     

  約17%

  

         約32%

   

           約58%

引用:国土交通省インフラメンテナンス情報

また、今後必要となる社会資本の維持管理・更新費用の推計データは以下になります(国土交通省所管分)。

年 度

社会資本の維持管理・更新費用

2018

約5.2兆円

2023

約5.5~6.6兆円

2028

約5.8~6.4兆円

2038

約6.0~6.6兆円

2048

約5.9~6.5兆円

引用:国土交通省インフラメンテナンス情報

3、社会資本の老朽化に対する政府の取り組み

社会資本
最後に、社会資本の老朽化に対する政府の取り組みである

  • 道路
  • 下水道
  • 公営住宅
  • 河川
  • 海岸

の維持管理についてご紹介します。

(1)道路の維持管理

道路の維持管理の対象となる、主な社会資本は以下の通りです。

  • 鋼橋、コンクリート橋などの橋りょう
  • トンネル
  • アスファルト、コンクリートなどの舗装
  • 道路標識、盛土、照明灯など

また、道路の具体的な維持管理方法は以下になります。

  • 道路構造物やトンネルの定期点検
  • 炭素繊維シートの貼り付けによる橋りょうの補修
  • ひび割れ注入によるトンネルの補修

(2)下水道の維持管理

下水道の維持管理の対象となる、主な社会資本は以下の通りです。

  • 管きょ、マンホールなどの管路
  • ポンプ場
  • 水処理施設や汚泥処理施設などの処理場

また、下水道設備の具体的な維持管理方法は以下の通りです。

  • 管路の点検
  • 潜航目視調査
  • TVカメラ調査
  • ポンプ場と処理場の点検
  • 運転管理
  • 水質試験

(3)公営住宅の維持管理

公営住宅の具体的な維持管理方法は以下の通りです。

  • 給排水設備の補修
  • エレベーターの保守点検
  • 外壁や屋上防水の改修
  • 空き家の修繕

(4)河川の維持管理

河川における社会資本の維持管理の対象となる、主な施設は以下の通りです。

  • 土堤やコンクリートの堤防など
  • 水門、ひ門など
  • 排水機場、揚水機場、排水ポンプなど
  • ダム(堤体、放流設備など)

また、河川施設の具体的な維持管理方法は以下になります。

  • 堤防の巡視、補修
  • 水門の点検、補修
  • 排水機場の点検、補修
  • 貯水池の巡視、ゲート水密ゴムの交換

(5)海岸の維持管理

海岸における社会資本の維持管理の対象となる、主な施設は以下の通りです。

  • 堤防(緩傾斜堤防や直立堤防など)
  • 護岸(緩傾斜護岸や直立護岸など)
  • 突堤、ヘッドランドなど 
  • 離岸堤(有脚式離岸堤、潜堤・人工リーフなど)

また、海岸設備の具体的な維持管理方法は以下になります。

  • 海岸や設備の定期点検
  • 海岸の空洞化調査
  • 漂着物等の処理
  • はく離したコンクリートの補修

参考:国土交通省社会資本老朽化対策会議
参考:国土交通省インフラ長寿命化計画

まとめ

高度成長期では、国や自治体は、新たな社会資本の整備に重点を置き、多くの道路や橋が建設されました。

しかし、時間の経過によって、整備された社会資本の多くが耐用年数を迎え、老朽化が進んでいます。

今後は、社会資本の維持管理・修繕にも、注力していく必要があるといえます。