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二院制とは?一院制との比較や選挙制度の違い

投稿日2020.8.10
最終更新日2020.08.25

日本の国会は衆議院と参議院で構成された二院制で運営されています。

しかし、これだけでは二院制がどんな政治制度なのかイメージがつかないかもしれません。
やはり自分の住んでいる国の政治制度は皆さんも気になるでしょうし、正確に理解しておくに越したことはありません。

そこで今回は

  • 二院制とは何か
  • 一院制という政治制度の紹介
  • 現行日本の政治制度

などの項目をご紹介致します。本記事がお役に立てば幸いです。

1、二院制とは|一院制もある?

 二院制仕組み

二院制(にいんせい)とは、立法機関(法律を制定する組織)が独立した2つの議会や議院によって構成されている政治体制のことです。

日本の場合、国会が「衆議院」と「参議院」という独立した2つの議院で構成されているので、二院制ということになります。

ちなみに両院制(りょういんせい)という概念もありますが、基本的にはほぼ同じ意味です。

他には一院制(いちいんせい)という政治体制もありますが、こちらは二院制とは明確に異なります。なぜなら、一院制は文字通り単一の議会ないしは議院から構成される政治体制だからです。

2、二院制と一院制を比較

なお、世界には基本的に一院制と二院制しか政治体制がないので、長所と短所は相対的なものになります。
一院制への理解を深めておくと、二院制への理解が深まるので、まずは一院制の長所と短所を紹介していきます。

(1)一院制の長所と短所

一院制の特徴は、議院や議会が1つしかない点です。
二院制と比べて意思決定が早いことが主な強みと言えます。
さっそく一院制の長所を詳しく説明していきましょう。

ちなみに、スウェーデンや、ノルウェー、デンマークは、二院制から一院制に移行しました。
一院制を導入している主要な国の例は、以下のとおりです。

  • スウェーデン
  • デンマーク
  • アイルランド
  • ニュージーランド
  • トルコ
  • 韓国
  • 台湾

一院制の長所は、主に以下の2つと言われています。

  • 効率的ですばやく、社会全体の意思決定ができる
  • 議員数の圧縮によるコストダウンが図れる

意思決定の速さというメリットは、韓国において見られます。
日本でも憲法改正の議論がされていますが、韓国は憲法改正をなんと9度もしている国なのです。

いわゆるねじれ国会のような状態も起こらないので、すばやく効率的な意思決定ができ、臨機応変に法律を整備することができます。

また、議員の数を圧縮してコストダウンを狙った国としては、スウェーデンがあげられます。
スウェーデンは、もともと二院制でしたが、1970年に一院制に移行しました。

移行した際に議員数を30人減らし、警備費などをふくめてコストダウンができました。
これは経済的観点から見ても良いと言えるかもしれません。

もちろん、韓国と同様に再審議や議論の重複がなく意思決定が早い、という点からもコストダウンにつなげられます。

一院制に移行した背景には、国民による高い納税負担によって、手厚い福祉を実現しているため、無駄なコストをかけるべきではないという考えによるものだそうです。

一院制の短所としては

  • 立法権が1つの機関に集中するので、突発的な行動を抑制するのが難しい、
  • 議会が解散されたときに議会決議ができない

身軽で素早い意思決定ができる一方、リスクヘッジや慎重な議論がしづらいという傾向があります。
上記の特徴から一院制は、発展途上国などの政治的な柔軟性を必要とする国で採用されているようです。

実際、主要国首脳会議に参加している先進国は、すべて二院制です。
OECD加盟国だと全35カ国中16カ国が一院制と半数未満になっています。

一方で、2018年の列国議会同盟のデータによると、世界193カ国中で一院制を採用している国は114カ国とおよそ60%を占めます。

このことから世界的に見ると、一院制は多数派なようです。
しかし、だんだんと二院制の国は増えてきています。

世界180カ国における二院制を採用している国の数は以下のような状況です。、

  • 1995年には53カ国
  • 2003年には65カ国
  • 2018年には79カ国

このような状況から、二院制の国は今後も増えていくかもしれません。

参考:列国議会同盟(IPU: Inter-Parliamentary Union)

(2)二院制長所と短所

二院制の特徴は、立法機関に2つの独立する議会や議院が存在すること。

1つの議院しかない一院制と比べると、より深い議論ができる点が主な長所です。

ちなみに、2019年6月時点で二院制を採用しているのは、サミットに参加する全ての国など、世界の192カ国中79カ国が二院制を採用しています。

参考:参議院

一院制から二院制に移行した国は、スペインやルーマニア、ロシア、カンボジアなどがあります。
日本以外で二院制を導入している主な国には、以下の国があげられます。

  • アメリカ
  • イギリス
  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • カナダ
  • ロシア

二院制の長所は、主に以下の3つといわれています。

  • 権力の集中を防止し、突発的な行動を抑制できる
  • 慎重な議論から見落としなどのリスクが減らせる
  • 国民の多様な価値観や利益を反映できる(民意の反映)

2つの議院はそれぞれ独立しているので、互いに干渉して立法機関の突発的な行動を抑制(監視)できます。
権力の集中を避け、特定の個人や集団に有利な法律がつくられることを防げることが長所の1つです。

また、議院が2つあるため、比較的議員数も多くなる傾向にあります。
このため、少数派の意見を持つ国民の代表者や特定の分野に詳しい有識者を立法機関に送ることができます。

したがって、一院制と比べるとリスクの見落としを防いだり、より柔軟な法案を作れるといった長所もあります。

そして、議論の回数が多く、議論に参加する議員数も多いことから、国民の多様な価値観や利益を反映しやすいことも二院制の長所といえます。

二院制の短所は以下の3点といわれています。

  • 意見がわかれると行き詰まりが生じる場合がある
  • 2つの議院が同質化するリスクがある
  • 2つの議院がある分、コストが多く掛かってしまう

まず、日本のねじれ国会のように、2つの議院で与野党が逆転していると、法案成立が遅れてしまう恐れがあります。

慎重な議論や突発的な行動を抑制するのが二院制のメリットではありますが、議論が硬直化してしまうと、各施策がなかなか進まないといったリスクが出てくるのです。

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次に、独立しているとはいえ、2つの議院が同質化してしまう事態がおこる可能性があります。
実際、日本でも参議院は衆議院のカーボンコピーと揶揄されることもあります。

2つの議院を構成している政党がほぼ同じになってしまうと、二院制は無駄にコストがかかってしまうだけの制度になってしまうわけです。

最後に、一院制と比べると二院制はどうしてもコストが上がってしまいます。
議院が2つある分、議員数や審議の場が多くなり、その分コストも掛かってしまうのです。ってしまう

3、二院制を採用する理由

なぜ日本が衆議院と参議院の二院制をとっているのか、その理由についても見ていきましょう。

(1)二院制を採用している国の状況

先進国は比較的二院制を採用している場合が多く、理解を深めておくと日本の二院制への理解も深まります。
一口に二院制といっても、以下のように種類があるのです。

  • 連邦型の二院制
  • 貴族院型の二院制
  • 比較的両院の違いが小さい二院制

上記3つの二院制について見ていきましょう。

①連邦型の二院制

アメリカやドイツ、カナダ、オーストリアといった国は、連邦型の二院制を採用しています。
連邦型の二院制とは、地方(州)の代表を中央議会に送り込む形式です。
地方の権限が大きい場合も多く、大雑把にいうと各地方の意向をそのまま中央に持ち込むイメージとなります。

②貴族院型の二院制

イギリスは、下院と上院に分かれていますが、上院議員は世襲貴族や宗教関係者などで構成されています。
もっとも下院の優越が強く、ほとんどの裁量を下院が握っている状況です。
首相も下院第一党の党首が務めるため、一院制に近いと言えます。

③比較的両院の違いが小さい二院制

イタリアや日本は2つの議院の差が比較的小さいです。
両院の違いとしては、被選挙権や任期、解散の有無などがあります。
特にイタリアは、上院と下院の選挙を同時におこなうので、両院の構成政党が似通いやすい傾向にあります。

(2)日本が二院制を採用する理由

参議院の公式ホームページによると、日本が二院制を採用する理由は、以下の3点です。

  • 国民の様々な意見をできるだけ広く反映できる
  • 1つの議院が決めたことを他の議院でも検討するので慎重な審議をおこなえる
  • 1つの議院の行き過ぎを抑制したり、足りないところを補ったりできる

要するに、先に紹介した二院制のメリットを全面的に肯定し、取り入れている形です。

実際、衆議院と参議院で議決が異なった場合には、両院協議会で調整がおこなわれます。
そして、二院制の長所をより活かすため、衆議院と参議院には、任期や解散の有無、被選挙権といった違いが設けられているのです。

衆議院と参議院の違いについては以下の関連記事で詳しく解説しています。

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4、日本の二院制の問題点

日本の二院制と似ているイタリアでもよく議論されますが、両院を構成する政党がほぼ同じで、政党比率も似通るケースが多いです。

こうしたことから、二院制の必要性が疑問視され、改革案が持ち上がっています。
また、少数の権力者によって政治決定が進められてしまう密室政治も問題です。

密室政治とは、特定の派閥の実力者や幹部によって重要な決定などが密かに行われる政治のことを指します。

二院制の問題点と対策

前述の二院制の問題への対案として、以下3つが議論されています。

(1)一院制への移行(衆参統合)

大阪維新の会では、小さな政府を目指す一環として、衆参統合による一院制への移行を掲げています。
少子高齢化が進む中で、すばやい政策決定や議員数の削減、参議院の存在意義の疑問性などから提案されている状況です。

(2)地方院の創生

アメリカやドイツのように、地方の代表を派遣する地方院を創生してはどうかという議論もされています。
つまり、各都道府県知事が間接的に国の政治に参加し、片方の議院の政党化を防ぐという仕組みです。
これにより、二院制の長所を引き出そうというわけです。

(3)学識者の派遣

イギリスの上院やかつての日本の貴族院のように、有識者を参議院に派遣するのはどうかという議論もされています。
政党に関係なく、衆議院を抑制したり、専門的な知見から国民の利益を増やそうというわけです。
小沢一郎氏などが主張しています。

まとめ

今現在の日本は二院制ですが、一院制にするといった改善案を実行する決定権は国民にあります。
ぜひ、今回紹介した一院制と二院制の違いや良さを覚えて、政治や選挙への関わり方を考えていただければ幸いです。