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ねじれ国会とは?ねじれとは何か簡単に解説

投稿日2020.3.20
最終更新日2020.06.15

ねじれ国会が問題になっているという話を皆さんは聞いたことがあるかもしれません。アメリカでは2018年11月の中間選挙によりねじれ議会が誕生しました。

しかし、ねじれとは何がねじれているのでしょうか?何のことだか想像がつかないという方も少なく無いと思われます。
そこで今回は

  • ねじれ国会の概要
  • その問題点

についてわかりやすく説明します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、ねじれ国会とは

ねじれ

「ねじれ国会」とは、「国会の2つの院である衆議院と参議院で、それぞれ過半数を占める政党が異なる状態のこと」です。

もう少し詳しく言うと、「国会の2つの話し合う場である衆議院と参議院において、衆議院で過半数を占める〈与党〉が、参議院では過半数以下である状態、つまり、参議院では〈野党〉の方が過半数を占めている状態のこと」と言えます。

2020年3月の政治情勢でいうと、衆議院議員の任期が2021年10月までで、参議院議員の選挙は2022年7月に予定されています。
今は、衆議院、参議院ともに自民党が過半数を占めています。

次回の国政選挙は、2021年10月以前の衆議院議員総選挙ですから、仮に自民党が衆議院議員総選挙で過半数を失うことがあると、2年以内に「ねじれ国会」が発生する可能性もあります。

衆議院と参議院そのものについてより詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧下さい。

衆議院と参議院の違いってなに?5つの違いを簡単解説

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2、衆議院の優越について

なぜ「ねじれ国会」は生じるのでしょうか。

理由は、衆議院と参議院では、持っている力が違うためです。
より正確に表現すると「持っている機能が違う」から2つの院では「選挙制度」が異なります。
選挙制度が異なれば1つの党の議員が2つの院で大多数を占めることも当然難しくなります。

この項目では2つの院の力の違いをメインのテーマに取り上げていきます。
実は、持っている力は参議院よりも衆議院の方が強いのです。どのような時に力が発揮されるのでしょうか。

(1)力が発揮されるとき

実衆議院と参議院でそれぞれ決めたことが異なったときに発揮されます。
国のルールである法律が法律として認められるためには、衆議院と参議院でそれぞれ過半数の議員が、「この法案、いいよ」と言ってくれなければなりません。

例えば、衆議院である法律について、過半数の議員が可決してくれたとします。
そのあと、参議院でもその法律について話し合いますが、参議院では、「いいよ」と言ってくれた議員が、半分以下だった場合国の法律にはなりません。

このあと、もう一度、衆議院でこの法律がいいかどうかを話し合います。
そして、衆議院で3分の2以上の議員が「いいよ」と言ってくれたら、はじめて国の法律として認められます。

このとき、参議院の考えは、「無視」です。
また、衆議院で可決した法律が、いよいよ参議院で話し合われることになったときに、参議院の人たちが、この法律がいいのか、ダメなのかなかなか言ってくれなかったとします。

このとき、60日間、何も言ってくれない状態が続いたら、国会としては「衆議院の人たちはいいよと言ってくれているので、法律として認めます」ということになります。

しかこの60日は法案を早く通してスムーズに政治を運営したいと考える与党からすればとても長い時間でしょう。

(2)衆議院の優越

  • 衆議院で「いいよ」となった法律を、参議院が「よくない」と言ったとしても、もう一度衆議院議員の3分の2以上が「いいよ」と言えば、法律になる
  • 衆議院で「いいよ」となった法律を、参議院が何も言わずに60日間過ぎたら、衆議院の人たちが「いい」と言っているから、法律として認める

という点で、「衆議院の方が、力が強い」と言えるのです。

ほかにも、衆議院で過半数の議員が「この人を内閣総理大臣に」と選んだものの、参議院で「別のこの人を内閣総理大臣に」と選んだとしても、衆議院で選んだ人が、首相になります。
ここでも、衆議院の「強さ」が現れるのです。

このことを、「衆議院の優越」と言います。
なぜ「衆議院の方が、力が強い」のかと言えば、衆議院には解散があることや任期が参議院より短いことから、衆議院は参議院より国民の考えを反映できていると考えられているためです。

以下の関連記事では衆議院の優越についてより詳しく解説しています。

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3、「ねじれ国会」になるとどうなる?

問題点
簡単に言うと、「与党(後述で説明します)」のやりたいことがスムーズにすすまなくります。
一体どういうことでしょうか。
「ねじれ国会」になってしまうと、次のようなことが起きるのです。

衆議院で「与党」にいる議員たちが「この法律、いいよ」と言ったにもかかわらず、参議院では「与党」にいる議員たちが半分以下しかいないために、半分以上いる「野党」の人たちから「この法律は駄目だ」と言われ、法律として認められない、ということが起こります。

政権の意向が通らず、様々な対応が遅くなってしまう恐れがあるのです。
そうなれば社会は混乱し、経済にも打撃があるでしょう。
詳しく見ていきたいと思います。

(1)衆議院の優越も万能でない

衆議院の方が力は強いから、衆議院で決まったことが法律として認められるのではないか。
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに衆議院で決まったことが法律として認められます。

ただし、それには条件があります。
繰り返しになりますが、

  • 「衆議院でもう一度話し合って、3分の2以上の議員が賛成する」
  • 「参議院の人たちが「いい」とも「ダメ」とも言わずに60日間過ぎる」

という場合です。
いずれにしても、手間と時間がかかります。

そのため、「与党」のやりたいことが、スムーズには進まなくなってしまうのです。
スムーズに進めようとしたら、「与党」の人たちは、「野党」の人たちにも、「この法律、いいよ」と言ってもらえるように、さまざまな努力をしなければなりません。

「駆け引き」というものです。
「野党」の人たちが言っていることも、少しは取り入れないといけなくなります。

(2)与党と野党について

ニュースなどでよく耳にする「与党」と「野党」という言葉。
この言葉についても整理しておきましょう。

「与党」とは、「衆議院」において過半数を占める政党のことです。
政党とは、同じ考え方を持った議員のグループのことです。

仮にAとBという考えがあったとして、Aという考え方をする人たちが、衆議院議員のうちの半分以上(過半数)いたとします。このとき、Aという考え方をする人たちのグループのことを、「与党」と呼んでいます。
過半数の人たちがいることで、その政党の一番偉い人が、内閣総理大臣になります。

衆議院で過半数の人が、「この人を総理大臣に」と選んだ場合には、たとえ参議院で別の人を選んだとしても、衆議院で選んだ人が総理大臣に決まります。
なので、衆議院で過半数を占めていることが、重要なのです。

反対に、「野党」とは、「与党」以外の政党のことです。
2019年11月現在では、「与党」は、自由民主党(自民党)と公明党(公明党は過半数を占めていませんが、法律についての考え方を自民党と全く一緒にしているので、「与党」の一員です)で、「野党」は、立憲民主党や国民民主党などです。

まとめ

国会がねじれているからこそ、他のグループの意見を取り入れたり、他のグループの意見に賛成したりするという動きも出てきます。

確かに、ものごとがスムーズに進むことは一見するといい感じがします。

しかしながら、衆議院も参議院も国民の意見を代表しているという点を考えると、衆議院と参議院で異なる意見が出てくると、その異なる意見を合わせたよりよい法律ができるのではないかという期待もあるのです。