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両院協議会とは?衆議院の優越についてもわかりやすく解説

投稿日2020.10.2
最終更新日2020.10.02

両院協議会(りょういんきょうぎかい)とは、衆議院と参議院の意見が合わなかった場合に両院共同で開かれる話し合いの場です。

我が国ではさまざまな意見を踏まえて議論を行うために、国会では衆議院と参議院からなる二院制が採用されています。

両院協議会ではどのような話し合いが行われているのでしょうか?
今回は

  • 両院協議会とは?
  • 両院協議会が開かれる条件
  • 両院協議会と「衆議院の優越」の関係

についてご紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、両院協議会とは?

両院協議会とは、衆議院と参議院から選ばれた10名の協議委員で開かれる共同の会議です。

国会には衆議院と参議院という議院あり、通常はそれぞれ違う場所で議論を行っています。
国会議事堂を正面に見て、左側が衆議院分館、右側が参議院分館です。

国会
画像出典:国会周辺図 衆議院

衆議院と参議院の掛け持ちはできません。
衆議院の議員は「衆議院議員」、参議院の議員は「参議院議員」と呼ばれ、選出方法と任期も異なります。

国会ではさまざまな議論がなされていますが、法律を作ったり、予算を決めたりするためには原則衆議院と参議院の両院の賛成が必要です(衆議院の意見が優先される場合があります、後段にて解説)。

ただ、場合によっては片方の議院で賛成されたものの、片方の議院で反対されることがあります。
そこで両院の意見を合わせるために開かれる議会が両院協議会です。

両院協議会
画像出典:両院協議会 参議院

両院協議会で話し合いが行われ、出席協議委員の3分の2以上が賛成した場合に、両院協議会の成案となります。

ただし、この成案は衆議院と参議院の議会であらためて議決されなければ、国会の意思にはなりません。

最後まで両院協議会の話し合いに折り合いがつかない場合については、後ほど「3、両院協議会と衆議院の優越の関係」で解説します。

参考:衆議院と参議院の関係 参議院

2、両院協議会が開かれる条件

両院協議会は、必ず開かれる場合とそうでない場合があります。
開かれる条件については、日本国憲法と国会法に記載されています。

どちらかの院が、もう一方に院に対して「両院協議会を開いてほしい」という開会請求を出し、受諾されると両院協議会が開かれます。

両院協議会は、議題内容により

  • 開会請求の受諾が必須である必要的両院協議会
  • 開会請求の受諾が任意である任意的両院協議会

に分かれます。それぞれについてご紹介します。

(1)開会請求の受諾が必須:必要的両院協議会

開会請求の受諾が必須である議題は

  • 予算の議決
  • 条約締結の承認
  • 内閣総理大臣の指名

です。

これらの議題についての意見が衆議院と参議院で異なる場合に、開会請求が行われれば、拒否することはできません。

(2)開会請求の受託が任意:任意的両院協議会

開会請求の受諾が任意な議題は

  • 法律案
  • 憲法改正原案

です。

衆議院で可決した法律案が参議院で否決された場合、衆議院は参議院に対して両院協議会の開会請求ができます。

一方、参議院から法律案が提出されることもありますが、衆議院は参議院からの開会請求を拒否することができます(後段「3、両院協議会と衆議院の優越の関係」でくわしく解説)。

参考:両院協議会 参議院

3、両院協議会と「衆議院の優越」の関係

両院協議会
両院協議会を解説する上で欠かせないキーワードが、「衆議院の優越」です。
ここでは

  • 衆議院の優越の概要
  • 衆議院の優越が適用される両院協議会の案件

について解説します。

(1)衆議院の優越とは

衆議院の優越とは、衆議院と参議院で意見が一致しなかった場合に、衆議院に認められる優先的な権限です。

衆議院が参議院より偉いというわけではありません。
前述の通り、我が国では衆議院と参議院の二院制を取り入れています。

二院制の目的はお互いの抑止または補完です。

ただし、片方が反対を続けていると政治は進みません。
そこで生み出されたのが「衆議院の優越」です。

衆議院は参議院に比べて任期が短く、国民の意思が反映されやすいと考えられています。
そこで、衆議院に優先的な権限を付与し、国の意思決定をスムーズに行うことが衆議院優越の目的です。

衆議院 参議院
任期 4年 6年(3年ごとに半数が改選)
解散 あり なし

衆議院の優越には

  • 予算先議権(予算は参議院より衆議院で先に審議される)
  • 内閣不信任決議案の提出と決議(内閣不信任案の結果によって内閣は総理大臣を含め、総辞職または解散しなければならない)
  • 予算の議決
  • 条約の承認
  • 法律案の議決
  • 内閣総理大臣の指名

があります。

(2)衆議院の優越が適用される両院協議会の案件

上記の衆議院の優越が適用される議題の中で両院協議会に関連するものは以下の通りです。

  • 予算の議決
  • 条約の承認
  • 法律案の議決
  • 内閣総理大臣の指名

それぞれ見ていきましょう。

① 予算の議決、条約の締結

予算の議決と条約の締結では、同じ条件下で衆議院の優越が認められます。
以下が衆議院の優越が認められる条件です。

  • 衆議院と参議院の意見が合わない
  • 衆議院の議決後、参議院が30日以内に議決しない
  • 両院協議会でも両院の意見が合わない

これらの条件がそろった場合、「衆議院の議決がそのまま国会の議決」になります。

② 法律案の議決

法律案の議決では、以下が衆議院の優越が認められる条件です。

  • 衆議院で可決された法律案に対して、参議院が否決または修正議決した
  • 衆議院から可決された法律案を受け取った後、参議院が60日以内に議決しない、かつ、衆議院で参議院は否決したとみなす議決をした

これらの条件が揃い、「衆議院議員の3分の2以上の賛成で再び可決」した場合には、その法律案は法律となります。

③ 内閣総理大臣の指名

内閣総理大臣の指名では、以下が衆議院の優越が認められる条件です。

  • 衆議院と参議院でそれぞれ別の人物を指名している
  • 両院協議会で意見が合わない
  • 衆議院の指名議決後10日以内に参議院が指名しない

これらの条件を満たす場合には「衆議院で指名を受けた人物が内閣総理大臣」になります。

参考:衆議院の優越 参議院

4、両院協議会の問題点

両院協議会の問題点は、成案(両院の妥協案が決まりづらい)の難しさです。

両院協議会では衆議院から10名、参議院から10名の協議委員が選ばれますが、一般的に衆議院は与党から、参議院は野党から議員が選ばれます。

そのため、意見がうまく調整出来ない傾向にあります。
また、「3分の2以上の賛成が必要」という条件も成案の難しさに繋がっています。

これらの問題に対して、専門家からは

  • 両院協議会の構成メンバーを変える
  • 成案のための議決要件を緩和する

などの提案が上がっています。

参考:両院協議会改革の難航 参議院

まとめ

今回は両院協議会について解説しました。
我が国では衆議院と参議院の二院制によって、さまざまな角度から議論が行われています。

多様な視点から議論がなされる分、時には両院の意見が一致しないといった場合もあります。

こういった場合に、両院の意見をすり合わせて、より良い政治的決定を行う場が両院協議会なのです。