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過疎化とは?過疎化の現状・影響・対策を簡単解説

投稿日2020.11.17
最終更新日2020.11.17

過疎化とは、ある地域で急激に人口が減少し、コミュニティや生活の維持が難しくなる現象です。

高度経済成長期の都市への人の移動をきっかけに過疎化がはじまり、現在は少子高齢化によって過疎化が進行しています。

そこで本記事では

  • 過疎化とは
  • 過疎化の現状
  • 過疎化がもたらす悪影響
  • 過疎化に対する対策

についてご紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、過疎化とは・過疎地域について

過疎化
過疎化とは、ある地域の人口が急激に減少し、その地域の生活機能を維持することが難しくなる状態です。

過疎地域は、過疎化が発生している地域を指します。
以下は総務省が発表した過疎地域の「市町村数」「人口」「面積」を表したグラフです。

過疎地域の面積は国土の6割弱を占め、過疎化している市町村数は46.4%です。また全人口の8.9%が、過疎地域に住んでいます。

過疎化
画像出典:平成27年度版 過疎対策の現況 総務省

ここから「過疎化の原因」や「過疎地域と判定される基準」についてくわしく見ていきましょう。

(1)過疎化の原因

1950年代から1970年代までの「高度経済成長」が過疎化の原因1つです。
急速な経済成長とともに、集団就職等で地方から都市へ人口が流出したため、農村の過疎化が発生しました。

また「少子高齢化」も過疎化が進む原因として挙げられています。

過疎化
画像出典:都市部と過疎地域について 総務省

参考:過疎対策の評価と今後の振興方策のあり方に関する調査報告書 総務省

(2)過疎地域と判定される基準

過疎地域の基準を決めているのは「過疎法」です。
過疎法とそれぞれの要件について見ていきましょう。

①過疎法

過疎法の正式名は「過疎地域自立促進特別措置法」です。
高度経済成長期の1970年から過疎化に対する法律がいくつか施行され、現在まで法律による過疎化対策が続いています。

以下は過去の過疎法一覧になります。

  • 過疎地域対策緊急措置法(1970年~1979年)
  • 過疎地域振興特別措置法(1980年~1989年)
  • 過疎地域活性化特別措置法(1990年~1999年)
  • 過疎地域自立促進特別措置法(2000年~2020年)

参考:過疎地域自立促進特別措置法(延長後)と過去の過疎3法の概要 総務省

②過疎地域の要件

過疎地域として指定される要件には

  • 人口要件(長期要件と中期要件)
  • 財政力要件

の2つの要件があります。
まずは人口要件について、以下の表で確認してみましょう。

長期要件 中期要件
人口要件 ①    1970~2015年の人口減少率が32%以上

または
②1970~2015年の人口減少率が27%以上かつ、

2015年の高齢者比率が36%以上かつ、

2015年の若年者比率が11%以下

①    1990~2015年の人口減少率が21%以上

人口要件では長期・中期どちらかに当てはまれば過疎地域となります。

また、高齢者は65歳以上、若年者は15~29歳とされています。
ただ、1990~2015年の人口増加率が10%以上だった場合は、長期要件から除かれます。

次に財政力要件について、以下の表で確認してみましょう。

財政力指数 公営競技収益
財政力要件 2013~2015年の財政力指数の平均が0.5以下 収益が40億円以下

財政力指数とは、地方公共団体の財政力を示す指数です。
ちなみに上記の人口要件と財政力要件は2019年時点のものになります。

参考:過疎対策の地域指定の要件について 総務省
   財政力指数 総務省

2、過疎化の現状

過疎地域は

  • 過疎関係市町村
  • 過疎地域とみなされる市町村
  • 過疎地域とみなされる区域のある市町村

に分けられています。

これら「3種類の過疎地域」と「限界集落」について見ていきましょう。

(1)3種類の過疎地域

ここ数年の市町村の合併により、多くの過疎地域が吸収され、1つの自治体として過疎地域を把握することが難しくなりました。

そこで、過疎地域を以下の3つに区別することで、合併後も追跡を行っています。

  • 「過疎関係市町村」:過疎地域に該当する市町村
  • 「過疎地域とみなされる市町村」:一定の要件に該当する市町村
  • 「過疎地域とみなされる区域のある市町村」:一定の要件には該当しないものの、合併前に過疎地域に該当していた市町村

参考:「過疎」のお話 全国過疎地域自立促進連盟

下記の図は、3種類の過疎地域に関する分布図です。
過疎化
画像出典:過疎関係市町村都道府県別分布図 総務省

(2)限界集落

限界集落とは、65歳以上の住民が人口の半数を占めた地域です。
過疎地域と違って法律で定義されているわけではありません。

限界集落は社会学者である大野晃氏が提唱した概念です。
住民の大半が高齢者であるため

  • 農作業
  • 道路の管理
  • 冠婚葬祭

といった地域としての機能が限界に近い地域を指します。

3、過疎化がもたらす悪影響

過疎化が進むことで、さまざまな自治体が消滅し、地域の伝統文化が途絶えるといった影響だけでなく

  • 空き家問題
  • 医療と介護の不足
  • 耕作放棄地の増加

などの悪影響も及ぼします。
くわしく見ていきましょう。

(1)空き家問題

空き家問題とは、「人が住んでいない家屋」といった管理されていない建造物が増えることで生じる問題全般を指します。

下記は「空き家の推移」を表したグラフです。
人口が減れば、必要な住宅数も減ります。

しかし、全体の住宅数は増えており、空き家数は年々増加傾向にあるのです。

過疎化
画像出典:平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約 総務省統計局

また、空き家問題によって

  • 防犯性の低下
  • 景観の悪化
  • 倒壊や火災のリスク
  • 不衛生な環境

などの問題も発生する可能性があります。

参考:人口減少が地方のまち・生活に与える影響 国土交通省

(2)医療と介助の不足

過疎地域には高齢者が多く、医療と介助の確保が急がれています。
無医地域(医療機関がない地域)の約90%が過疎地域に存在しており、2019年時点で無医地区は601地区です。

また過疎地域では産婦人科や小児科が少ないため、子育てなどにも影響を及ぼしており、医療人材の確保や他地域との連携が必要であると言われています。

参考:過疎地の地域医療の課題と実践 J-STAGE
令和元年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果 厚生労働省

(3)耕作放棄地の増加

耕作放棄地とは、1年以上作物を植えず、再び作物を育てる予定のない耕地(田畑等)を指します。
耕作放棄地は増加しており、2005年には38.6万ヘクタール(東京都の1.8倍)にまで広がっています。

耕作放棄地
画像出典:水田のフル活用による食料自給力・自給率の向上 農林水産省

耕作放棄地の増加により

  • 病虫や鳥獣被害の増加
  • 農地利用の阻害と食料自給率の低下
  • 将来的な食料不足

なども発生するかもしれません。

参考:耕作放棄地の現状と課題 農林水産業
(2)農業集落の動向 イ 鳥獣被害の状況 農林水産業

4、過疎化に対する対策

過疎化によって生じる問題に対しては、どのような対策があるのでしょうか?

  • 地方
  • デジタル技術

の3つの視点から対策をご紹介します。

(1)国の過疎対策

国では過疎法を制定することで、過疎化対策を行っています。

1970年の「過疎地域対策緊急措置法」にはじまり、現在の「過疎地域自立促進特別措置法」によって過疎対策が進められてきました。

「過疎地域自立促進特別措置法」では、過疎地域の自立促進に焦点が置かれ

  • 地域産業を振興する
  • 道路と通信確保による他地域との交流活発化
  • 医療と教育の確保

などが実施されています。

参考:過疎地域自立促進特別措置法の概要 総務省

(2)地方の過疎対策

地方自治体では、地域ごとに適した過疎化対策を行っています。
過疎対策の例として「神奈川県過疎地域自立促進方針」をご紹介します。

神奈川県の対策では、過疎法をもとに独自の分野別方針を発表していることが特徴です。

例えば、産科や小児科などの医師が不足している問題に対して

  • 県内医学部に地域枠を設定し、入学の定員を増やす
  • 卒業後に指定した診療科で勤務することを条件に修学資金の貸付けを行う

などの方針をまとめています。

参考:神奈川県過疎地域自立促進方針 神奈川県

(3)デジタル技術による過疎対策

デジタル技術による過疎対策にも注目が集まっています。

デジタル技術を用いた

  • 政策
  • 解決例

について見ていきましょう。

①デジタル技術の政策

ドローン物流やオンライン診療などのデジタル技術による社会整備は、国の政策として進められており、2018年に決定された「第5期科学技術基本計画」がデジタル政策の要となっています。

ソサエティ5.0
画像出典:Society 5.0 内閣府

こうしたデジタル技術を十分に利用した新たな社会をSociety 5.0と名づけ、ICT技術(情報通信技術)によって、社会問題を解決に導くDX(デジタルトランスフォーメーション)を目的とした政策が推進されています。

参考:Society 5.0 内閣府

②    デジタル技術による解決例

過疎地域においては交通の不便さといった問題があります。
こうした問題に対して

  • 医療のオンライン診療
  • ドローンの荷物配送

などの対策が実現すれば交通の問題を解決できるかもしれません。

国土交通省では、福島県南相馬市で実験的にドローンによる配送業務を行うなど、過疎地域でのドローン物流の実現に取り組んでいます。

また医療のオンライン診療なども、新型コロナウイルスをきっかけに受けられるようになってきました。

そのほか、通学・通勤で都市への移動が必要のない「サテライトオフィス」や「サテライトキャンパス」も広がりつつあります。

参考:過疎地域の新しい物流の誕生へ 国土交通省
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について 厚生労働省

まとめ

今回は過疎化について解説しました。
人口減少に伴う過疎化が進むと、さまざまな問題が連鎖して発生する恐れがあります。

そうした事態を避けるためにも、国や地方自治体は日々色々な対策を講じています。

既存の対策に加えて、最先端技術による過疎化対策にも注目していきたいですね。