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896の市区町村が2040年に消える?消滅可能性都市について簡単解説

投稿日2021.2.23
最終更新日2024.01.09

消滅可能性都市とは、少子化や都市部への人口流出をきっかけに、今後自治体として存続できない可能性のある地域です。

2040年までに896の市区町村が消滅するという予測が立てられています。

そこで今回の記事では、以下について紹介します。

  • 消滅可能性都市とは
  • 消滅可能性都市の原因
  • 消滅可能性都市の推計と分布
  • 消滅可能性都市への政府の対策

1、消滅可能性都市とは

消滅可能性都市

消滅可能性都市とは、少子化や人口流出により消滅する可能性のある自治体を指します。
2014年、日本創成会議によって896の市区町村が消滅可能性都市に指定されました。

日本創成会議とは、増田寛也元総務大臣が座長を務め、専門家や学者などの有識者で構成される民間組織です。

参考:日本創成会議、元総務相・増田氏が座長の民間組織 日本経済新聞

消滅可能性都市には厳密な定義があり

「2010年から2040年にかけて、20歳~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市町村が消滅可能性都市である」

引用:国土交通政策研究所

とされています。

子どもを産む可能性の高い女性が減少してしまうと、人口の維持が難しいと考えられ、消滅可能性都市に指定されることが一般的です。

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2、消滅可能性都市の原因

消滅可能性都市の原因

消滅可能性都市の最大の原因は、人口減少です。
人口が減れば、自治体を維持することは非常に難しくなります。

そして人口減少の要因としては、以下が挙げられます。

  • 20歳から39歳の若い女性の減少
  • 大都市圏(特に東京)への若者の流出

それぞれ見ていきましょう。

(1)20歳から39歳の女性人口の減少

上述したように子どもを産む可能性の高い女性が減り続けることは人口減少の大きな要因として挙げられます。

人口減少を回避するためには出生率の増加が必要です。
9割以上の子どもが20歳から39歳の女性から生まれている傾向にあり、特に地方ではこうした女性の人口が減少しています。

参考:「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について 国土交通省

ここで静岡県の例を見てみましょう。
静岡県では1995年以降、転出者(人口流出)が転入者(人口流入)を上回る状況が続き、特に女性人口の流出が顕著です。

消滅可能性都市
画像出典:若年女性の流出問題を考える 首相官邸

女性人口が流出している原因には

  • 大学や専門学校が少ない
  • 女性が就職したい企業が少ない
  • 生活全般の満足度が低い

などが挙げられ、近年の女性の社会進出に伴う、女性の進学率と就職率の高さも関係していると言われています。

(2)人口の偏り|東京一極集中について

進学や就職をきっかけとした都市部への若者の移動も地方における人口減少の要因の1つです。

「東京一極集中」は地方の過疎化を加速させています。
東京一極集中とは、政治・経済など国の機能の大部分が東京に集中している現象です。

東京一極集中の背景にある

  • 女性の移動
  • 若者の意識の変化

について見ていきましょう。

① 女性の移動

女性の高学歴化とともに、短大よりも大学に進学する女性は増加傾向にあります。

女性の移動
画像出典:内閣府「教育をめぐる状況」

進学をきっかけに東京へ移動し、東京圏の学生の9割が東京に本社を置く企業に就職することから、地方に戻るケースが少なくなっているようです。

② 若者の意識の変化

首相官邸が発表している「東京圏に転入した若年者の『働き方』に関する意識調査」によると、地方から東京へ移動する理由として、男性は就職や仕事関係が多く

女性は

  • 地元や親元から離れたかった
  • 一都三県で暮らしてみたかった
  • 育児と介護の制度が充実しているから

などの理由が挙げられました。

女性の場合、従来のように「進学・就職」などの単純な動機ではなく、地元に不満を抱き、東京へ移動しているという意識の変化があると言われています。

こうした意識の変化により、女性の東京への移動が増えていることが、地方の過疎化が進行し、東京一極集中が加速している原因であると考えられています。

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3、消滅可能性都市の推計と分布

全国の市町村1799のうち、896の市町村が2040年までに消滅する可能性があると推計されています。

具体的には、全国の自治体の49.8%が、2040年以降に存在していないかもしれないと言われています。

以下は消滅可能性都市の分布図です。
消滅可能性都市

画像出典:全国の「消滅可能性都市」の分布 国土交通省

濃い黒色の部分は2040年に人口が1万人未満となる消滅可能性都市を表し、グレーの部分は人口が1万人以上の消滅可能性都市を表しています。

分布図を見てみると、地方に消滅可能性都市が集中しているわけではなく、都市周辺においても消滅の可能性がある市区町村が点在していることがわかります。

また、以下のグラフは都道府県別の消滅可能性都市の比率を表しています。

消滅可能性都市
画像出典:都道府県別・「消滅可能性都市」の比率 国土交通省

最も消滅可能性都市の市町村が多い県は秋田県で、大潟村以外のすべての自治体が消滅可能性都市として指定されています。

2位は青森県(87.5%)、3位は島根県(84.2%)です。
また、これらの数値は2014年11月の資料作成時点のデータに基づいています。

参考:「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について 国土交通省

4、消滅可能都市への政府の対策

国は、消滅可能性都市を減少させるためにさまざまな政策を実施しています。

  • 地方移住の促進
  • 地方への人材還流
  • 遠隔勤務の整備
  • 地方での子育て支援

などの対策について見ていきましょう。

(1)地方移住の促進

消滅可能性都市の発生を防ぐためには、東京から地方へ新しい人の流れが必要です。

そのため都内には、以下が設置され、地方移住が促進されています。

  • 移住交流情報ガーデン(旧全国移住促進センター)
  • ふるさと回帰支援センター

① 移住交流ガーデン(旧全国移住促進センター)

移住交流情報ガーデンとは、東京駅に位置する地方移住に関する相談窓口です。

消滅可能性都市
画像出典:移住・交流情報ガーデン 一般社団法人 移住・交流推進機構

移住の相談や情報の検索、自治体によるイベントなどが開催されています。

空き家や仕事の情報など個人向けのサービスから、企業と自治体のマッチングも実施されており、地域おこし協力隊の募集も行っています。

② ふるさと回帰支援センター

消滅可能性都市
画像出典:ふるさと回帰支援センターのご紹介 認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター

ふるさと回帰支援センターとは、移住交流情報ガーデンと同じく、東京有楽町にある移住相談センターです。

地方自治体の担当者と直接話せるサービスもあり、オンラインでのセミナーも行われています。

参考:移住・交流ガーデン 一般社団法人 移住・交流推進機構
    ふるさと回帰支援センター 認定NPO法人

(2)地方への人材還流

東京へ上京した人口を地方へ戻すこと(人材還流)も消滅可能都市の発生を防ぐ方法の1つです。

政府は人材還流を促すために、以下を整備しています。

  • UJIターンを考えている人をターゲットとした「地域しごと支援センター」
  • 魅力的な労働環境を実現するために地方企業の手助けをする「プロフェッショナル人材センター」

UJIターンとは、以下の3つをまとめたものです。

  • Uターン:出身地に戻ること
  • Jターン:出身地近くの地方に戻ること
  • Iターン:都市部出身者が地方に移り住むこと

参考:地域しごと支援センターで職業紹介等を実施 鳥取県
   Uターン/Jターン/Iターン 一般社団法人 移住・交流推進機構

(3)遠隔勤務の整備

遠隔地での勤務や就学などの制度を整えることで、地方での人口増加を期待することができます。

2020年5月の内閣府による、20歳〜59歳の東京圏在住者を対象とした、地方移住に関するアンケートによると、49.8%が地方暮らしに関心を持っていることが判明しました。

また、地方暮らしに関心を持つ人の大半が、地方での仕事環境への不安を理由に移住できていないことがわかりました。

政府はこうした課題に対して

  • 本社から離れた地方にオフィスを設置するサテライトオフィス
  • 自宅を含めた本社から離れた場所で働くテレワーク
  • 校舎以外の場所で授業が受けられるサテライトキャンパス

などの推進を対策として発表しました。

これらの対策が推進されれば、東京でなくとも様々な仕事ができ、多くの人が地方に生活拠点を移すことで、地方の活性化も期待できます。

参考:東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり 首相官邸
      おためしサテライトオフィス 総務省 

(4)地方での子育て支援

地方での子育て支援を促進することで、地方都市の活発化につながります。

都市部に住む親の中には、「子どもの自然体験が不足している」という理由から地方移住を検討している人も多くいると言われています。

子育て世代にとっても魅力的な地方都市にしていくために、政府は「子育て世代包括支援センター」を通して、どの地域に住んでいても親子が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいます。

子育て世代包括支援センターの整備により、出産から育児まで切れ目のない支援を提供することで、全国的な少子化問題を解決に導く狙いがあります。

参考:地方への多様な支援と「切れ目」のない施策の展開 首相官邸

PoliPoliで公開されている地方創生関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政策共創プラットフォーム『PoliPoli』では、地方創生関連の政策について、以下のような政策が掲載されています。

あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。

PoliPoli|子育てしやすいまちづくりで地方創生!

(1)子育てしやすいまちづくりで地方創生!の政策提案者

議員名 今枝 宗一郎
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/MDVuGC0613SxUEEnvvcJ/profile

 

(2)子育てしやすいまちづくりで地方創生!の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • 「子育てがしやすいまちづくり」を通じて、地方創生、そして全国の人口減少問題の解決に貢献します。

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • 児童手当の拡充や妊娠・出産費用負担ゼロ化などの子育て支援や、教育の無償化、教職員や保育士の処遇改善などの教育支援

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

まとめ

国は、消滅可能性都市を減少させるために、地方定住の促進や地方での子育て支援など、さまざまな施策を進めています。

健康的なライフスタイルが注目される中、自然豊かな地方の魅力は新たな強みになる可能性があります。

2040年までにどの市区町村も消滅させないために、サテライトキャンパスやテレワークなど多様性のある生活様式の拡大にも期待が高まります。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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