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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー子どもたちが、日本に生まれてよかったと言える社会を。国民民主党・深作ヘスス議員インタビュー

子どもたちが、日本に生まれてよかったと言える社会を。国民民主党・深作ヘスス議員インタビュー

投稿日2025.4.16
最終更新日2025.04.17

日本国大使館職員や米下院議員の外交政策スタッフなど、様々な外交の現場を経験した深作ヘスス議員。国民民主党の知名度がまだほとんどない2022年の参議院選挙に初出馬した後、昨年の衆院選で初当選を果たしました。母親がペルー出身で、外交経験も含め外部から見た日本のよさを知る深作ヘスス議員に、国民民主党から政治家を志した理由や今後注力したい政策分野などについてうかがいました。

(取材日:2025年3月27日)
(文責:株式会社PoliPoli 児島花生里)

深作ヘスス(ふかさく・へすす)議員
1985年生まれ。成蹊大学経済学部経済学科卒業後、
在アメリカ合衆国日本国大使館勤務、米下院議員の外交政策担当スタッフ、
宇宙航空研究開発機構(JAXA)ワシントンD.C.駐在員事務所コンサルタント、
大野もとひろ埼玉県知事秘書を経て、
2024年衆議院議員選挙(神奈川県第19区)で初当選(1期)。

様々な外交の現場を経験の後、国民民主党から政治家を目指した理由

—深作議員は米国の日本大使館、米下院議員の政策スタッフ、JAXAワシントン駐在などを経験されています。なぜ政治家を目指されたのでしょうか。

政治家の幅は非常に広く、国会議員から県会議員、市会議員もあります。私は長く外交の現場におり、国家の礎は外交や経済・金融政策にあると考えています。私の能力や価値を発揮できるのは外交分野だ、と考えた時、国政でチャレンジしようと考えました。

ただし私は学生時代から政治家になりたいと思っていたのではありません。私が社会に出て歩んだ道の先に国会議員の役割があった、と考えています。外交政策への関与は生涯をかけてやっていくのだろうな、と感じていましたが、それが絶対に国会議員でなければいけない、と思っていたわけではありません。どちらかと言えば、参議院選挙に初めて立候補するタイミングで政治家となる覚悟を決めました。

—2022年時点では、まだほとんど知名度のない国民民主党から立候補されたのはなぜでしょうか。

理由は2つあります。1つ目は、日本の若者にとっての日本はかつて産業大国「だった」・経済成長を「していた」、という過去の栄光の話ばかりであり、生まれた時からずっと「失われた」国なんです。これは大きな問題です。なぜこの状況から日本が抜け出せないかと振り返れば、これまでの政治の在り方に問題があったと考えています。この間の国内政治は与党と野党の対立が基本的な構図となっていました。民主党政権時代も、与野党の立場が変わったものの構図は同じです。対立で何を解決してきたのでしょうか?現在、国民民主党が皆さんから支持をいただいている理由の一つ、「対決よりも解決」の姿勢を打ち出していたのが国民民主党でした。私は以前から、真っ当な対立軸を示す政党がこの国にないことが課題であり、新しい選択肢を作る必要性を痛感していました。これは私の根本部分です。政治に新しい選択肢を作らなければいけない、という思いが国民民主党を選んだ理由の1つです。

2つ目は、私が外交や安全保障の政策分野を扱う中で、自衛隊を違憲とするような政党では活動できません、またそういった政党と選挙協力するようでは、自分の信念を曲げる必要が生じてしまいます。このため野党の中では、国民民主党しか私の中で選択肢はありませんでした。これらの理由から、当時まだ誰にも知られていなかった国民民主党から国政に挑戦しようと決めました。

—初回の挑戦となった2022年の参議院選挙(神奈川選挙区)は落選され、その後2年の浪人生活を送られています。浪人時代に心が折れるようなことはありませんでしたか。

初回の参院選の出馬は色々な人に止められました。しかし当時、政党支持率が0.9%だった国民民主党から出馬したにもかかわらず、神奈川県内で約25万票、約6%の票を得ることができました。支持率は小さくとも、信念と理念を持って政策を掲げて活動すれば25万人の人が“深作ヘスス”の名前を投票用紙に書いてくださる。25万人が託した思いを落選でやめる訳にはいかないとも感じ、信じられる政党で信じられる政策を掲げて活動を続けよう、と思いました。

政治家となった今、外交にかける思いと日本の国力を伸ばすために必要なこと

—少数与党の国会にあって、議員立法をはじめ国会の中でどのような活動をしていきたいですか。

実は国民民主党が衆議院で法案提出ができるようになったのは、前回の衆院選以降です。それまでは参議院経由で議員立法を出しても、議席の関係から衆議院で取り上げてもらえませんでした。現在、過去に提出した法案を我々は見直しており、改めてこれは提出していこう、というものを提出しています。これからは私自身も主導して、外交政策に深く関わる外国人土地取得規制法や、スパイ防止法といった議員立法に取り組みたいと思っています。

—不安定な国際情勢の中、今後の日本の外交政策はどのような点を重視すべきとお考えでしょうか。

国民民主党は結党以来、自分達の国は自分達で守る、ということを常に掲げています。私が国民民主党を選んだ理由の1つでもあります。これまでの国会における外交の論戦は、アメリカがこのような姿勢だが日本はどうしようか・中国はこういった動きをしているが日本はどうするなど、主語は他国にあることが多かったと言わざるを得ません。しかし主権国家としてやるべきは、我が国や国際的な環境がどうであれ、またどういう国家が相手であれ、日本が果たす役割を明確にすることです。そうすることで、他の国の動きや環境が変わったとしても、自分達のやるべきことが必然的に決まると考えています。

トランプ大統領が自国中心主義を見せていること、ロシアとの関係、台湾有事の可能性、など、日本が主語でない話になりがちです。これは様々な力を日本が持っていないことに起因しています。軍事力のみならず、経済力・食糧自給率・エネルギー自給率・研究開発力など様々な能力が日本は過去に比べても落ちています。結局のところ、力の根拠なき外交はできないので、様々な部分で国力を付ける必要があります。

—日本の国力を伸ばす上で、注力すべきという分野はどことお考えでしょうか。

前提として、ビジネス的な視点で政治家がこれはいい、と思ってやっても当たる訳がありません。当てられるなら、自らビジネスをやった方が早いです。ただし政治家がここを大事にしたい、という部分を後押しすることは大切です。その観点で注力すべき分野は2つあります。1つ目は長期視点となりますが教育です。教育を通じて、未来の科学者や研究者が新しい産業イノベーションやサービスを生み出していく必要があります。また、それがいわゆるデュアルユースと呼ばれる、国防に資する新しい技術にもつながると思います。

2つ目は、直近の分野として宇宙です。宇宙技術はGPS、携帯電話、天気予報を始め、間違いなく私達の生活に大きな影響を与えています。最近では、どの地域にどういった作物が育ちやすいか、ということも衛星写真やレーダーで分かります。また宇宙は民間分野のみならず軍事分野もあるため外せません。更に、宇宙分野に私が注目するもう1つの理由は、まだ宇宙は世界においてルールメイキングがなされていない部分があるためです。予算規模で日本はアメリカに勝てません。しかし、技術のみならずルールメイクにも関与することで、日本は宇宙分野でまだ充分存在感を発揮できます。

国民民主党に注目が集まるが徹底的に政策本位でやっていきたい

—衆議院において与野党の議席数が拮抗する中で、国民民主党に注目が集まる機会も増えました。支持率が1%割れの頃に国民民主党から初出馬するなど過去を知る深作議員としては、国民民主党をどのような政党にしていきたいとお考えでしょうか。

等身大でいることが非常に大事だと考えています。支持率が上がり前回の衆院選で躍進した結果、何となく国民民主党は衆議院の10~15%の議席を保有しているかの様に取り上げられることがあります。があります。しかし実際は衆議院における議席は約6%で、これが現実です。衆議院で6%程度の議席しか持たない政党という、等身大で自らを捉える必要があります。ただし、支持率1%割れの状態から衆議院で約6%の議席まで来たのも事実です。これは常に政策本位で、日本に何が必要で今何をすべきかを訴えてきた結果です。政局で風を起こすよりも、徹底的に政策本位で、今までと同じことをやっていくだけだと思います。

得意の外交にフォーカスするが、政治家として日本の課題を一つ一つ解決していきたい

—今後日本をどのようにしたいかなど、政治家となった今、目指したい大きな方向性についてお考えをお聞かせください。

私の母はペルー人です。しかし私の母の親族は既に誰もペルーにいません。当時情勢が不安定だったペルーから、皆逃れるようにアメリカに渡っています。ペルーで大学教授をしていた親戚などもアメリカに渡り、全てを捨ててアメリカで郵便局員やベビーシッターなどをして子供を育ててきました。私は日本で生まれ育ちましたが、母には、日本で生まれたことがいかに特別なことか、いかに恵まれているかを言われ続けてきました。私は20年後・30年後の我々の子供達が、この国に生まれよかったと言える、そういう社会を作りたいと常に思っています。そのために必要なことであれば、外交だろうが社会保障問題だろうが何でもやるつもりです。ただし私の専門性が活かせるのは外交なので、まずは外交にフォーカスします。

—最後に、後に続く世代へのメッセージや今後の政治活動に対する意気込みをお願いします。

海外に出れば出るほど、日本という国がいかに恵まれているかを感じます。ただしそれは外から見た時の話であって、日本国内で生きている失われた時代しか知らない若者はそれを実感できません。上の世代の負担を押し付けられて、働いても報われないと感じている若者が多くいます。それでもやはり日本は本当に恵まれていると思います。ただし課題があるもの事実で、一つ一つ解決していくのが、国政に携わる政治家の今の私の役割だと考えています。

議員バッチを外しても、私ができる外交分野での役割を全うしたいという思いは変わりません。ただし現在は議員バッチを預かっている以上、議員でしかできないことに取り組んでいきたいですね。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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