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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー自由民主党・河野太郎議員に聞く! これからの日本のグランドデザイン【後編】

自由民主党・河野太郎議員に聞く! これからの日本のグランドデザイン【後編】

投稿日2024.9.13
最終更新日2024.10.01

少子高齢化や急激な人口減少、厳しさを増す安全保障環境など日本を取り巻く国内外の情勢は厳しさを増しているとされます。その中で政治にはこれからの日本が進む方向を指し示し、日本社会のあるべき姿を描いていく役割が求められています。今回のインタビューでは、8月26日に自民党総裁選挙に立候補を表明した河野太郎議員に、これからの日本のグランドデザインについてお伺いしました。

<インタビュー前編はこちら

河野太郎議員インタビュー

(本記事は「政治ドットコム」のYoutubeチャンネルに投稿されたインタビュー動画を元にしたものです。本編動画はこちらからご覧ください。)

政治の信頼回復こそが政策推進の基盤

河野太郎議員インタビュー

ー8月26日に自民党総裁選挙に出馬することを表明されました。河野議員はなぜ総理を目指されるのでしょうか。

自分がやりたい政策を確実に実行するには総理大臣になるしかありません。規制改革・行政改革を進めるには各府省庁の横串を通す必要がある。これをきちんとやるためには省庁を束ねる総理が一番進めやすい。

岸田総理が総裁選不出馬を表明した閣議後に「思いのある方は総裁選に出馬してください」とおっしゃっていただいたことで、出馬への重しを外していただいたなと感じましたね。

ー岸田総理が自民党総裁選挙への出馬を見送ると聞いたとき、どのように感じましたか。

辛いだろうなと思いました。政治資金の不記載に関する問題は党の問題です。自民党が党としてもう少しまとまって動けていればよかったのではないかと思いました。政治資金規制法の改正や政治倫理審査会への出席も岸田総理が矢面に立って対応しました。党として対応するべき問題を岸田総理に責任を負わせたような印象も持っています。

ー派閥がなくなって初めての総裁選挙ですが、これまでとの違いを感じますか。

正直に申し上げると、以前とあまり変わっていないのではないかと思います。総裁選の出馬にあたり派閥に残っていることを批判されますが、実態は旧派閥単位での活動が行われていることも事実です。むしろ一番大事なのは新総裁が派閥を元にした人事を行わないことです。

河野議員の総裁選特設サイトを拝見したところ、一番最初の政策に「0.党改革」を挙げていらっしゃいます。あえて0番に党改革を位置付けた意味や、どのような意図がありますか?

政治への信頼回復が重要だとの考えからです。政治資金の不記載問題について、政治資金報告書の訂正と検察による捜査も終了しています。ただやはり国民の中にはもやもやしたものが残っている。結局、裏金とは何だったのか。改めてけじめをつける必要があると思います。

賃上げの継続が何より重要

河野太郎議員インタビュー

ー河野議員が総理になった際、取り組みたい政策はなんでしょうか。

賃上げが継続していくことが最も重要です。そのためには労働市場の改革が一丁目一番地です。現在、日本の労働者のうち、1,400万人がパートまたはアルバイトの非正規雇用で働いています。しかもその多くの方が最低賃金か最低賃金に近い金額で働いています。また400万人が派遣社員や契約社員として業務が固定化され、給与も低く抑えられています。

現在の賃上げは春闘が主な舞台となっています。しかし、そこでは大手企業の正社員の給料に関する議論がメインで、先ほど申し上げたパート、アルバイトの1,400万人、派遣社員、契約社員の400万人の方々の賃金を上昇させるための手段は十分に議論されていません。このままでは、大企業の正規雇用の人だけ賃上げが進み、格差が広がっていくことになります。

あらゆる立場の人の賃上げを進めるには、大手の正社員以外の方々が安心して付加価値の高い仕事に移るための仕組みが必要です。そのためには新しいスキルを学ぶ期間に生活が保障されるようなセーフティーネットの整備も実現したい。

労働市場改革の中で、柔軟な働き方を可能にしていきます。現在の働き方は様々なニーズに答えるほど柔軟ではありません。子育てや介護などの事情により、短時間だけ働きたい、転勤せず働きたい、といった場合でも現在は正規雇用から外れなければならない。

しかし、今の労働市場の中では一度正規雇用から外れると、なかなか正規雇用に戻りづらい。これを解決するためには正規雇用と非正規雇用の壁をなくして働き方を柔軟に選べるようにするべきだと考えています。解雇規制の見直しによって、非正規雇用を正規雇用に置き換えるハードルが下がり、働き方を自由に選べるようになれば、企業と労働者の双方にメリットが生まれます。

また中小企業の従業員は正規雇用であっても会社都合で解雇され、補償も受けられないことがある。補償ルールを新たに国が定め、解雇時の生活の安定を図っていくべきだと考えます。

これまでの解雇規制は、人口が増加する社会を前提に、失業をなるべく減らすことを目的に維持されてきました。しかし働き方をめぐる環境は変わりつつあります。かつて当たり前だった終身雇用は終わりを迎えつつあり、今や新卒入社した方の3割以上が3年以内に転職しています。雇用規制についても時代にあわせた見直しが必要です。

ー労働市場改革とデジタルツールの関係性についてはどのような可能性を見ていますか?

オンライン教育がもっと広がればいいと思います。また、個人の職歴をデータ化して、適性を見るなど、データハンドリングも進めます。アナログだと何十万人単位でデータを操縦することは難しいですからね。

ー先日の会見では、年末調整を廃止し、個人で確定申告を行うという政策が話題になりました。

マイナンバーを利活用して、個人の税や社会保障に関するデータを一元化したいと考えています。

コロナ禍でイギリスが機動的にピンポイントで困窮者を支援できたのは、行政が個人の給与所得のデータをリアルタイムに収集していたからなんです。

しかし日本では、その前年の確定申告のデータしかない。これでは今、現時点で誰の所得が減っているか把握できません。結局、国民全員に対して一律に給付金を配ることになりました。

マイナンバーの活用とデータ連携が進めば、日本でも誰の所得が減っているかリアルタイムに把握できるようになります。自治体や年金機構、税務署などがマイナポータルでつながれば、支払っている税金の金額や社会保険料が自動で反映され、誰もが確定申告を簡単にできます。

確定申告の代わりに会社が実施していた年末調整の必要もなくなり、会社の負担は減ります。税務署も紙の処理がなくなる。その上で、国民一人一人が確定申告をすることで、自分の収めている税や社会保険料を知ることで、政治への関心が高まる効果も期待できる。

確定申告をより簡単にするためには、さまざまなシステム改修が必要です。すぐに行えるわけではありませんが、近々実装できるように準備を進めたいと思います。

ー先日の会見では、被選挙年齢の引き下げにも触れられていました。

地方議会の成り手不足を深刻に考えているからです。地方議会では候補者数が議会の定員を下回ることが多く発生しています。その一方で、大学のサークルやNPO・NGOなどで地域の活性化に取り組む若い人を多く目にします。地域の課題に真剣に取り組む人のアイデアを議会の中で議論して、よいものには予算をつける。するともっと社会がよくなるだろうなと思っているんです。被選挙年齢を18歳に設定する国は、G7のなかでも増えてきています。若い人が選挙に出ることで同世代の若者も政治や選挙に関心を持てるのではないかと思います。

政治にゴールはない。次世代にバトンを渡していく。

河野太郎議員インタビュー

ー次のコロナに向けて今やっておくべきこと

前回のコロナ禍では、国産ワクチンを製造できなかったことは痛恨でした。ワクチン供給は輸入に頼らざるを得なくなりました。このことは製造国の意向次第でワクチン供給が止められてしまうことを意味します。実際、EUはワクチンの輸出規制をかけました。形式的な措置かと思ったら実際にオーストラリア向けの輸出がストップしたこともありました。ワクチンを自前で開発できる技術を持っておかなければならないと痛感しました。

飲食店を中心とする休業中の補償のあり方についても改善の余地が大きいですね。コロナ禍では休業補償を一律に行ったため、支援の手厚さにムラが出てしまったんです。補償が全然足りないお店もあれば、補償金のおかげで普段よりも売上が大きいお店もあった。

先ほども言ったようにデジタルの力を活用して、リアルタイムでデータを把握することで国が困っている人に適切な支援を行えるようにしたい。そのためには有事のときの対応について平時からあらかじめ準備しておくことが何より大切です。

ー河野さんにとって政治家として成し遂げたいことはなんですか。

これができれば満足だということはないんでしょうね。国際環境も変われば、日本の社会も変わり続けている。今日何かを達成することができても、明日になればまたやらなければならないことが出てくるでしょう。ゴールテープはありません。その意味で次の世代にバトンをつなぐことが役目だと感じます。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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