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衆院選とは?参院選との違いや選挙の課題について簡単解説

投稿日2021.2.17
最終更新日2021.02.17

衆議院議員選挙(衆院選)とは、衆議院議員を選出する選挙のことです。
対して参議院議員を選出する選挙は参院選と呼ばれます。

これらは国民の代表を選ぶ重要な国政選挙です。
そこで本記事では、

  • 衆院選の内容
  • 参院選との違い

などについて分かりやすく説明します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、衆院選とは?

衆院選
衆院選は、衆議院議員の選出を目的とした選挙のことです。
衆議院議員は参議院議員と同様、三権(立法権・行政権・司法権)のうちの立法権を担っています。

また、法律を定める国民の代表者を決めることが、選挙の役割です。

衆議院の議員定数は465人(小選挙区289人、比例代表176人)で、参議院では1回の選挙で議員の半数を改選するのに対し、衆議院は1回の選挙で全員が改選されるため、このことから総選挙とも呼ばれています。

選挙方法としては、「小選挙区比例代表並立制」を採用しています。
1994年に公職選挙法が改正され、この制度が用いられるようになりました。

ドイツなどで採用されている「小選挙区比例代表併用制」とは異なる選挙制度であることに注意してください。

この「小選挙区比例代表並立制」では、小選挙区制と比例代表制、2つが同時に行われます。有権者は1人2票を持ち、小選挙区では候補者の名前を、比例区では政党の名を記入し、票を投じます。

以下で小選挙区制と比例代表制についてそれぞれ見ていきましょう。

(1)小選挙区制

小選挙区制では、全国を289区に分け、選挙区ごとに議員を1人選出します。
小選挙区制と大選挙区制の違いは以下の通りです。

  • 小選挙区制=1つの選挙区で1名を選出
  • 大選挙区制(中選挙区制も含む)=1つの選挙区で複数名を選出

中選挙区制は1つの選挙区から3~5名の議員を選出する方法で、1928年から1993年の間、1946年の衆院選を除いて採用されていました。

比例代表選挙は1994年に小選挙区制に変更するにあたって、併せて導入されました。

中選挙区制では、政党は各選挙区でより多くの当選者を出すために、複数の候補者を擁立します。
そのため、同じ政党内の候補者間で票の取り合いが生じてしまうというデメリットがありました。

候補者は、特定の団体に有利な政策を行うことを約束して支持を得るなど、他の候補者と差別化する必要がありました。

多くの政治資金も必要となり、不透明な政治献金が行われるなどの問題が起き、このような「同士討ち」を改善しなくてはいけない状況に陥りました。

小選挙区制だと各選挙区で1名しか当選しない訳ですから、政党は複数候補者を擁立する必要はなくなり、同士討ちは解消されます。

また、小選挙区制は普通、大政党に有利な制度となるため、少数政党も当選しやすい比例代表制が併せて導入されることになりました。

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(2)比例代表制

比例代表選挙では、全国を11ブロックに区分し、有権者は支持する政党名を書いて投票します。

そして各政党が獲得した得票数に応じて議席が配分されます。
この際、各党の得票数を正の整数(1、2、3、4、……)で割り、その商(割り算の結果のこと)が大きい順に各党に議席を分配していく、「ドント式」という方法で獲得議席数を決定します。

政党は事前に各候補者に順位を付けた名簿を用意し、その名簿の順位に従って当選者が決定されます。

このように、あらかじめ政党が当選順位を定めた名簿を用いる方法を「拘束名簿式」といいます。

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(3)重複立候補

小選挙区の候補者は、一定の要件を満たせば、比例代表選挙にも重複して立候補する「重複立候補」が可能となります。

重複立候補により、小選挙区で落選してしまった候補者が、比例代表選挙では当選することもあります。
これを「復活当選」と呼びます。

しかし復活当選によって、小選挙区では他の候補者に比べて人気のなかった議員でも当選してしまうことがあり、2000年の公職選挙法改正によって、供託金没収点(有効投票総数の10分の1)未満の場合は復活当選が認められなくなりました。

参考:総務省

2、衆院選はどんな時に行われるのか

どのような時期に衆院選が行われているのでしょうか。
衆議院議員の「任期満了時」と、「解散時」の2つの場面で行われます。

(1)任期満了

まず、衆議院議員の任期は原則4年と定められているので、任期が満了した際に選挙が行われます。

しかし、任期満了によって行われた選挙は戦後1回しかなく、ほとんどが以下で説明する衆議院の解散時に行われています。

(2)衆議院が解散した時

4年の任期満了とは別に、衆議院が解散した際にも選挙が行われます。
参議院には解散がなく、衆議院のみが有している制度です。

衆議院議員は、解散による選挙に備えるため、常にその時々の民意を汲み取った政治運営を担うことが期待されています。

衆議院の解散は、主に「69条解散」と「7条解散」に分けられます。

①69条解散

69条解散とは、憲法69条が

「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、 十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」

引用:日本国憲法

と定めているように、衆議院が内閣に対し不信任の意を示した場合に限り、対抗的に解散を行うことを指します。

②7条解散

一方で7条解散とは、69条解散のように不信任決議案を可決し、信任決議案を否決した場合に限られず、内閣が民意を問うために必要だと判断した際に行う解散の方法です。

憲法7条3号において

「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。…3号 衆議院を解散すること。」

引用:日本国憲法

とあることから、解散自体は天皇が国事行為として行いますが、「内閣の助言と承認により」という部分に内閣の実質的解散権を認めていると解されます。

内閣の支持率が高い場合など、自らに有利なタイミングで解散できるため、これを認めるべきでないとする説もありますが、これまでの解散は、ほとんどが7条解散によって行われています。

参考:東京新聞

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3、次の衆院選はいつ?


直近の衆院選は、2017年10月に行われています。
任期を約1年残して衆議院の解散が行われました。上述した7条解散です。

解散の理由は、安倍首相の説明によると「国難突破の為の解散」で、以下が重要な争点となりました。

  • 増税後の消費税の使い道を、借金返済から教育投資へと変更すること
  • 北朝鮮の核開発を巡る危機への対応
  • 憲法改正

結果的には自民党が単独で284議席を獲得、自民党と公明党を合わせて、憲法改正の発議に必要な全議席の3分の2以上を獲得しました。

次回は任期満了時に行われるとしたら、2021年10月に行われると予想されます。

4、参院選との違い

衆院選と参院選にはどのような違いがあるのでしょうか。
簡単に説明していきます。

参議院選挙は、参議院議員の選出を目的とした選挙です。
主に以下の点が、衆院選と異なっている部分です。

  • 議員定数
  • 任期
  • 選挙区の区割り
  • 当選者の決め方(比例代表)

(1)参議院の議員定数及び任期

参議院の議員定数は、248人(選挙区148人、比例代表176人)で、任期は衆議院議員より長い6年となっていて3年ごとに半数が改選されます。

(2)実際の選挙における違い

参院選の選挙方法も、選挙区選挙と比例代表選挙が併用されていて、有権者は衆院選と同様、1人2票を有しています。

①区割りの違い

参院選における選挙区選挙においては、都道府県を単位として区分けし(鳥取・島根県、徳島・高知県は2県で1つの選挙区とする「合区」を採用)、1区で1名を選出する小選挙区と、複数名を選出する大選挙区(中選挙区)が存在しています。

参院選における比例代表選挙では、全国を1区とします。

②拘束名簿式と非拘束名簿式

衆議院では有権者が政党の名前を記入し、予め政党が用意した名簿の順位によって当選者が決まる方法が採られています。このように、政党が順位を決めた名簿を用意しておくことを「拘束名簿式」と呼びます。

対して参院選の比例選挙区では、政党名または候補者名を選択して記入することができます。
両者を合わせて政党の票として換算し、各政党の議席数を振り分けます。
その後、政党内の候補者の得票数によって当選者が決まります。

衆院選のように政党が当選順位を定めた名簿を用意する「拘束名簿式」とは異なり、参院選では有権者の投じた票数に応じて当選者を決める方法となっていて、これを「非拘束名簿式」と呼びます。

参考:参議院

5、現状の選挙の課題

衆院選
現在の選挙制度の課題として、「若者の投票率」や「1票の格差」などの問題が度々ニュースなどで取り上げられています。
なぜ、このような点が問題になっているのでしょうか。

(1)若者の投票率

そもそも全体の投票率自体が平成以降急速に落ち込み、問題視されるようになりました。

前回(2017年)の衆院選における投票率は53.68%で、参院選(2019)年に至っては、48.80%と5割を切り、戦後2番目に低い投票率となってしまいました。

その中でも特に、若年層の投票率が低いことが問題となっていて、近年の10代・20代の投票率は30%~40%を推移しています。

なぜ投票率が低いことが問題視されるのでしょうか。

候補者は有権者の投票を得るため、有権者のニーズに沿った政策を公約に掲げますが、投票率の低い世代のニーズは軽視される傾向にあり、特定の世代に偏った政策が行われてしまいます。

従って、真に民意を反映した政策が実現されない可能性があるのです。
それでは、どのようにすれば若年層の投票率を上げることができるのでしょうか。

近年では若年層の投票率を向上させるため、教育による啓発、投票所をショッピングモールや駅の近くなどに設ける等の取り組みが実地されています。

また、インターネット投票の導入も検討されていて、現在実証実験も進められています。

参考:総務省・選挙

選挙の投票率は低下している?若者の投票率が低い理由と対策について

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(2)1票の格差

1票の格差の問題も、選挙制度を考える上で重要な課題となっています。

1票の格差とは、選挙区の有権者の数と議員定数の不均衡によって、各選挙区の有権者の間で、1票の価値に差が生じてしまうことです。

各選挙区の議員定数が1だとして、

  • A区の有権者が100人
  • B区の有権者が500人

だとした場合、

100人で1人の議員を選出するのと、500人で1人の議員を選出するのとでは、前者の有権者の方が政治的価値は大きくなり、格差は5倍となります。

また、A選挙区では51票以上獲得できれば当選しますが、B選挙区である候補者が51票を獲得しても、他の候補者が52票以上獲得すれば落選してしまうといった不平等も生じます。

人口が都心部へと流入し続けている今日では、都市部の1票の価値が低くなる傾向にあります。

憲法14条では「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

引用:日本国憲法

とされており、全ての国民が法の下に平等であることが定められています。
そのため14条は、一票の価値の平等をも要求しています。

昭和51年4月14日判決では、最大格差が約5倍だった衆院選について初めて「違憲」という判断を示しました。

平等選挙の実現のため、1票の格差がなるべく小さくなるような制度設計を進めていく必要があります。

参考:毎日新聞

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まとめ

本記事では、衆院選の仕組みや参院選との違いを説明しました。
国政に重要な影響を与える選挙の1つなので、衆議院の選挙制度に関する理解や関心を今後も深めていきましょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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