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オゾンホールとは?仕組み・影響・日本や世界の取り組みを簡単解説

投稿日2021.6.29
最終更新日2023.06.06

オゾンホールとは、南極の上空にあるオゾン層のオゾン量が極端に減ることで、層に穴が開いたような現象を指します。 

オゾンホールの主な原因は「フロンガス」であると考えられており、地球温暖化への影響も懸念されています。

この記事では、以下について解説します。

  • オゾンホールとは
  • オゾンホールに対する日本の取り組み
  • オゾンホールに対する世界の取り組み

本記事がお役に立てば幸いです。

1、オゾンホールとは

オゾンホール
「オゾンホール」とは、南極上空に広がっている「オゾン層」におけるオゾンの量が減少することで、まるでオゾン層に穴(ホール)ができたような現象を指します。

そもそもオゾン層とは、地上から約10~50kmの成層圏に存在している、大気中のオゾンが、特に濃いエリアのことを指します。

成層圏オゾンには「太陽の紫外線を吸収する」という役割があります。紫外線には有害な光線が含まれており、DNAを傷つける作用があるのです。

紫外線を浴びすぎると肌の遺伝情報に変異が起き、皮膚がんの原因になると考えられています。オゾンホールが発生すると地上に届く紫外線量が増え、生態系に悪影響を及ぼす危険性が懸念されているのです。

参考:気象庁
参考:環境省

(1)オゾンホールの原因

オゾンホールの主な原因に、「フロンガス」があると考えられています。

フロンガスとは、正式名称を「クロロフルオロカーボン類(CFC類)」と呼び、エアコンやスプレーなどに広く利用されていました。

その結果、大気中のフロンガスが大幅に増加したのです。フロンガスが成層圏にまで達すると、紫外線の影響で「塩素」が発生します。

すると塩素が触媒となって化学反応が起き、オゾンは酸素分子や一酸化塩素などに、分解されてしまうのです。また、消火剤に使われる「ハロン」など他の物質が発する「臭素」も、オゾンホールの原因になると考えられています。 

参考:気象庁

(2)フロンガスについて

そもそも「フロンガス」は、1920年代にアメリカで開発されました。

それまで使用されていた冷媒(アンモニアや亜硫酸ガスなど)とは異なり、

  • 毒性
  • 可燃性

のない「安全な物質」として、広く利用されるようになったのです。 

1930年代の終わりごろには、アメリカ国内で普及し、その他の先進国でも、1960年代以降に消費量が急上昇しました。

ところが、1970年代に「フロンガスはオゾン層を破壊するのではないか」との学説が発表されました。

また、フロンガスの悪影響はそれだけに留まらず、「地球温暖化」の原因にもなると考えられています。 

2、オゾンホールに対する日本の取り組み

オゾンホールは、私たちの生命に悪影響を与える危険性があります。
しかし、世界各国の積極的な取り組みによって、現在ではオゾンホールの進行は減少傾向にあるようです。

まずはオゾン層保全のための、日本の取り組みについて、次の3つの観点から見ていきましょう。

  • オゾン層保護法
  • フロン回収破壊法
  • 省庁による啓発活動

(1) オゾン層保護法

詳細は後述しますが、オゾン層を保護するための世界的な取り組みとして、「ウィーン条約」や「モントリオール議定書」が制定されました。

これらの条約に加盟すると共に、国内法として制定されたのが「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」です。 

一般的には「オゾン層保護法」と呼ばれています。オゾン層保護法では、モントリオール議定書で、規制の対象とされた物質を「特定物質」に指定しています。

また、次の4つの主な規定を設けました。

  • 特定物質の生産量や消費量など、オゾン層保護のための基本的事項を公表する
  • 特定物質の製造数量などを規制する
  • 特定物質の使用事業者による排出抑制や使用合理化を行う
  • 特定物質の濃度を監視して報告する

これらの取り組みによって、日本国内におけるオゾンなどの「特定物質」の生産や消費は厳しく規制されたのです。

参考:特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律

(2)フロン回収破壊法 

前述の「オゾン層保護法」により、フロン類の生産や使用は規制されました。 

しかし、すでに冷媒として利用されているフロン類は、機器の廃棄時に放出されることで、オゾンホールの拡大に影響を与えてしまいます。

そこで制定されたのが「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」です。

通称「フロン回収破壊法」と呼ばれています。フロン回収破壊法では、機器の廃棄時にフロン類を適切に回収することを義務づけました。

対象となるフロン類は次の3種類です。

  • クロロフルオロカーボン(CFC)
  • ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
  • ハイドロフルオロカーボン(HFC)

これらのフロン類は、主にエアコンや冷蔵庫、自動車用のカーエアコンなどに使用されています。

参考:特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法) 

(3) 省庁による広報・啓発活動

省庁による広報・啓発活動も盛んに行われています。

環境省では「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を、気象庁では「オゾン層・紫外線に関する情報」を公表しています。

また、環境省は国民に対し、

  • ノンフロン製品の購入推奨
  • フロンガス漏えい防止のための、定期的な機器整備のアナウンス

などの呼びかけも行なっています。

参考:環境省

3、オゾンホールに対する世界の取り組み

オゾンホール
国内におけるオゾン層保護に関する法律や取り組みは、国際条約に基づいて制定されています。 

極めて重要な世界的な取り組みは次の2つです。

  • オゾン層の保護のためのウィーン条約
  • オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書

 いずれも世界規模で、オゾンホール問題の解決を目指しています。

(1) オゾン層の保護のためのウィーン条約

オゾン層を保護するために、「ウィーン条約」が1985年3月22日に制定されました。
この条約では、締結国がオゾン層を保護するために、主に以下3つの取り組みを求めています。

  • オゾン層を保護するために適当な措置を各国で講じること(第2条第1項)
  • オゾン層保護のための研究および組織的観測などに協力すること(第3条)
  •  法律や科学および技術などに関する情報を交換すること(第4条)

なお、ウィーン条約の事務局は、ナイロビの「国連環境計画(UNEP)」に置かれています。 

参考:外務省

(2) オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書

前述したウィーン条約は、あくまで基本的な枠組みを制定したものであり、具体的な取り組みについては決められていませんでした。

そこで1987年9月16日に、ウィーン条約に基づいて、オゾン層を保護するために、「モントリオール議定書」が採択されました。

このモントリオール議定書により、

  • 5種類の「特定フロン」
  • 3種類の「特定ハロン」

が指定され、生産量の削減が推進されたのです。

特定フロンについては、1996年までの全廃が掲げられました。
モントリオール議定書における、主な規制措置は次の4つです。

  • 「特定物質」の全廃スケジュールを設定する(第2条のA~I)
  • 非締約国との貿易を規制する(第4条)
  •  最新の科学や環境,技術や経済に関する情報に基づく規制措置の評価を行う(第6条)
  • 代替フロンである「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」削減スケジュールを設定する(第2条のJ) 

最後のHFC削減スケジュールは、2016年の議定書改正で、新たに追加されたものです。
モントリオール議定書は「締結国会合」によって毎年再検討され、新たな規制の追加などが行われています。

参考:経済産業省

PoliPoliで公開されている環境関連の取り組み

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あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。

PoliPoli|再エネで地域も経済も活性化する気候危機対策!

(1)再エネで地域も経済も活性化する気候危機政策の政策提案者

議員名 田嶋 要
政党 衆議院議員・立憲民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/JskZ6HJLEgwWJZkKTVZN/policies

 

(2)再エネで地域も経済も活性化する気候危機政策の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • 再エネを中心とした分散型エネルギーシステムに移行し、そのプロセスを促進するグリーンリカバリーによる投資と海外に支払っていた燃料費を国内で循環させることにより、脱炭素社会の実現と経済・社会の活性化を両立させます。

(3)実現への取り組み

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まとめ

オゾン層の破壊は、私たちの生命や地球環境にとって、重大な問題だと考えられています。成層圏のオゾン層が破壊されることによって、有害な紫外線が大量に降り注ぐ恐れがあるためです。

オゾンホールに対する、日本国内を含めた、世界的な対策が進められています。 

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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