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国事行為とは?12の国事行為と天皇・内閣の関係を徹底解説

投稿日2021.6.11
最終更新日2021.06.21
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

国事行為とは、天皇が内閣の助言と承認によって行う、国事に関する形式的・儀式的な行為です。

天皇の国事行為は、憲法第7条で定められています。
本記事では

  • 国事行為とは
  • 国事行為の具体的な内容
  • 国事行為と内閣の関係
  • 国事行為の委任(代行)

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、国事行為とは|12の国事行為

国事行為
国事行為とは、天皇が内閣の助言と承認によって行う、国事に関する形式的・儀式的な行為です。

天皇の国事行為は、憲法第7条で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二 国会を召集すること。

三 衆議院を解散すること。

四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七 栄典を授与すること。

八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九 外国の大使及び公使を接受すること。

十 儀式を行ふこと。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

2、国事行為の具体的な内容

ここでは、12の具体的な国事行為について、ご紹介します。

参考:天皇の国事行為について 首相官邸

(1)内閣総理大臣の任命

内閣総理大臣の任命は、憲法第6条で定められています。

第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

内閣総理大臣は、国会の指名に基づき、天皇が任命します。
指名とは、名前を挙げて、個人を指定することです。

任命とは、役目や役職に就くように命じることを意味します。
内閣総理大臣になるためには、内閣総理大臣指名選挙に立候補し、過半数の票を得なければなりません。

国会の選挙によって指名され、天皇によって任命されることで、内閣総理大臣が誕生します。

国事行為総理大臣の承認画像引用元:内閣総理大臣になるためには 内閣総理大臣に詳しくなろう! 首相官邸きっず

(2)最高裁判所長官の任命

最高裁判所長官の任命は、憲法第六条で定められています。

第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

② 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

最高裁判所長官とは、最高裁判所の長たる裁判官です。
内閣が指名した最高裁判所長官を、天皇が任命します。

(3)憲法改正、法律、政令及び条約の公布

憲法改正、法律、政令及び条約の公布は、憲法第7条(第1号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

公布とは、成立した法律を国民に公表することです。
成立した法律について、天皇が公布し、官報に掲載します。

(4)国会の召集

国会の召集は、憲法第7条(第2号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

二 国会を召集すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

召集とは、衆議院と参議院の議員を国会に集め、国会を活動可能な状態にする行為です。

国会の召集は内閣が決定し、召集詔書の公布によって行われます。
召集詔書とは、招集の期日が記載された公文書です。

詔書は、天皇が発行する公文書を指します。

参考:国会の召集と種類 参議院

(5)衆議院の解散

衆議院の解散は、憲法第7条(第3号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

三 衆議院を解散すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

衆議院の解散とは、衆議院の議会が解散することです。

衆議院の解散は

  • 内閣不信任決議案が可決した場合
  • 内閣信任決議案が否決した場合
  • 国民の意思を確かめたい場合

などで行われます。

参考:衆議院の解散とは何ですか? 三郷市

内閣が解散を決定し、天皇の詔書によって、衆議院が解散されます。

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(6)総選挙の施行の公示

総選挙の施行の公示は、憲法第7条(第4号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

総選挙の施行の公示とは、選挙日の発表のことです。
選挙日の発表には、詔書が使用されます。

参考:衆議院議員総選挙の施行公示について 国立公文書館

(7)国務大臣その他の官吏の任免、全権委任状及び大使公使の信任状の認証

国務大臣その他の官吏の任免、全権委任状及び大使公使の信任状の認証は、憲法第7条(第5号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

任免とは、任命と免職のことです。
官吏とは国家公務員を指します。

  • 国務大臣
  • 検事総長

など、天皇による認証が必要な官吏を「認証官」と呼びます。

天皇は、認証官についての任免の認証を行います。

参考:認証官任命式 宮内庁

(8)大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の認証

大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の認証は、憲法第7条(第6号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権とは、恩赦の一種です。

国家の慶事等を理由に、刑罰を軽減したり、消滅させたりすることで、更生や社会への復帰を促進します(恩赦には個別恩赦もあり)。

大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権は内閣が決定し、認証は天皇が行います。

参考:恩赦制度の概要 国⽴国会図書館

(9)栄典の授与

栄典の授与は、憲法第7条(第7号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

七 栄典を授与すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

栄典とは、国家または社会に功労があった人を表彰するものです。

栄典には、

  • 位階
  • 勲章
  • 褒章

の3種類があります。
栄典は内閣が決定し、天皇が授与します。

参考:勲章・褒章制度の概要 内閣府 
参考:VI 叙勲、褒章と関連する制度 内閣府

(10)批准書その他の外交文書の認証

批准書その他の外交文書の認証は、憲法第7条(第8号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

批准書とは、条約に対する国家の確認・同意を示す文書です。
条約等の締結は内閣が行い、認証は天皇が行います。

(11)外国の大使・公使の接受

外国の大使・公使の接受は、憲法第7条(第9号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

九 外国の大使及び公使を接受すること。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

接受とは、迎え入れることを意味します。
皇居で行われる「信任状捧呈式」は、代表的な接受です。

参考:馬車で皇居へ・鴨場で空へ 外務省

(12)儀式

儀式は、憲法第7条(第10号)で定められています。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

十 儀式を行ふこと。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

儀式とは、普段とは異なる特別な行事を指します。

  • 即位の礼
  • 新年祝賀の儀

など、さまざまな儀式があります。

3、国事行為と内閣の関係

国事行為
国事行為と内閣の関係性は、憲法第3条によって以下のように定めています。

第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

条文より、天皇の行為には、内閣の承認が必要なことが分かります。
憲法第1条では、天皇は国の象徴であり、その地位は日本国民の総意に基づくと定めています。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

また憲法第4条では、天皇が国政には関与しないことが定められています。

第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

以上より、天皇は国の象徴であって、国政に関する機能を持ちません。
そのため、天皇による国に関する全ての行為には、内閣の助言と承認が必要であると考えられています。

4、国事行為の委任について

憲法第4条では、天皇は国事行為を委任できること(代行してもらうこと)が定められています。

第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

②天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

条文引用元:日本国憲法 e-GOV

この章では、

  • 委任できる状況
  • 委任する際の対応

などのことについて解説します。

(1)委任できる状況

皇室典範第16条では、天皇が国事行為を委任できるのは、以下の時であると定められています。

  • 天皇が未成年のとき
  • 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき

第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。

② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。

条文引用元:皇室典範 e-GOV

(2)委任する際の対応

皇室典範第16条では、天皇が国事行為を委任する場合には、摂政を置くことを定めています。

摂政とは、天皇の代わりに国事行為を行う人物です。
摂政には成年に達した皇族が就任します。

就任の序列は以下の通りです(皇室典範第17条に基づく)。

1 皇太子(皇太孫)

2 親王・王

3 皇后

4 皇太后

5 太皇太后

6 親王・女王

参考:摂政 宮内庁

まとめ

今回は国事行為について解説しました。

天皇の国事行為には内閣の助言と承認が必要です。
内閣の助言と承認は、憲法によって定められています。

国事行為を通して憲法を深く理解していきたいですね。