政治ドットコム経済失業率とは?日本の失業率の推移・雇用政策について解説

失業率とは?日本の失業率の推移・雇用政策について解説

投稿日2020.12.22
最終更新日2020.12.22

失業率とは、労働力人口のうち、完全失業者が占める割合です。
2019年の完全失業率は2.4%でした。

約2%の失業率が高いのか低いのか、ピンと来ない方も多いと思います。
そこで本記事では

  • 失業率とは
  • 日本の失業率の推移
  • 政府の雇用対策と経済対策

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、失業率とは

失業率
失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合です。

まずは

  • 労働力人口と完全失業者
  • 完全失業者の条件
  • 失業率の計算方法

について解説します。

(1)労働力人口と完全失業者

労働力人口とは、15歳以上の働く意欲のある人口を指します。
完全失業者とは、働く意欲があるにもかかわらず、就職ができない人です。

下記の図で完全失業者の位置を見てみましょう。

失業率

画像出典:(1)15歳以上人口について 労働力調査 用語の解説 総務省統計局

完全失業者は、15歳以上の労働力人口の内、就業者ではない者に位置することがわかります。

上図の通り、完全失業者に休業者は含まれません。

(2)完全失業者の条件

総務省統計局が発表している完全失業者の条件は以下の通りです。

完全失業者 : 次の3つの条件を満たす者

  1. 仕事がなく、調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)。

  2. 仕事があればすぐ就くことができる。

  3. 調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。

引用:(1)15歳以上人口について 労働力調査 用語の解説 総務省統計局

つまり、完全失業者とは

  • 15歳以上である
  • 働く意欲がある
  • 求職活動をしている(またはしようとしている)
  • 仕事に就けていない

人物であることがわかります。

参考:第3章 基本的諸概念と用語 総務省統計局

(3)失業率の計算方法

 失業率は『(完全失業者÷労働力人口)×100』で導くことができます。

2019年の失業率を計算してみましょう。
2019年の完全失業者は約162万人、労働力人口は約6724万人でした。

失業率の計算式にそれぞれの数字を当てはめると「(162万人÷6724万人)×100」となり、2019年の失業率は約2.4%であると求められます。

参考:労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約

2、日本の失業率の推移

日本の失業率はどのように推移してきたのでしょうか?

  1. 戦後から高度経済成長期
  2. バブル崩壊
  3. リーマンショック
  4. 東日本大震災
  5. 近年(2014~2019年)

の順に日本の失業率の推移を解説します。

(1)戦後から高度経済成長期

第2次世界大戦は1945年8月に終戦しましたが、厚生労働省の資料によると、1945年11月の失業者数は推計1,342万人といわれ、全労働力のおよそ30~40%が失業している深刻な状況でした。

その後、戦後復興とともに1950~1970年代まで、高度経済成長期を迎え、失業率は低下します。

高度経済成長期の失業率は1%前後を維持していたものの、オイルショック(1970年代に2回起きた石油危機)により失業率は3%まで悪化してしまいました。

参考:第3節 働く場(職場)の変化 厚生労働省

(2)バブル崩壊後

1980年代にはバブル景気(1980年代後半から1990年代前半に起きた好景気)が発生します。

1970年代のオイルショックにより3%に悪化した失業率は、バブルで2%まで低下しました。
しかし、1990年代の突入とともにバブルは崩壊し失業率は、

  • 1995年に3%を突破
  • 1999年に4.7%
  • 2002年に5.4%

を記録し、右肩上がりの増加傾向にありました。
2002年から景気は緩やかな回復傾向となり、失業率は

  • 2005年に4.4%
  • 2006年に4.1%
  • 2007年に3.9%

となり緩やかな下降傾向にありました。

参考:平成17年度 日本経済2005 第1章 第1節 景気回復が長期化する日本経済とそのリスク 内閣府 

(3)リーマンショック以降

2005年以降低下していた失業率は、リーマンショックを機に再び増加します。

2008年9月にアメリカ大手証券会社リーマンブラザーズの破綻の影響を受け、世界経済は混乱し、日本経済も影響を受けました。

リーマンショック翌年の2009年の失業率は5.1%を記録しました。
下記のグラフは総務省統計局が発表している完全失業率のグラフです。

失業率グラフ引用元:失業とは なるほど統計学園高等部 総務省統計局

(4)東日本大震災以降

2008年9月のリーマンショック発生後、2011年3月に東日本大震災が発生します。
東日本大震災の翌年2012年の失業率は4.3%、2013年は4.0%となり、高い失業率が続きました。

その後、失業率は回復に転じ、2014年の失業率は3.6%まで低下します。

厚生労働省の資料によると、失業率が回復した要因には、景気回復による人手不足とそれに伴う雇用の増加が挙げられています。

参考:第2節 雇用、失業等の動向 厚生労働省

(5)近年(2014~2019年)

近年の失業率は以下の通り下降傾向にあります。

  • 2014年:3.6%
  • 2015年:3.4%
  • 2016年:3.1%
  • 2017年:2.8%
  • 2018年:2.4%
  • 2019年:2.4%

失業率回復の背景には、雇用情勢の改善があります。
人手不足のために求人が増え、2016年の有効求人倍率は1.39倍になりました。

特に医療、福祉、宿泊業、飲食サービス業での新規求人数の増加が目立っていました。

参考:第2章 雇用・失業情勢の動向 第Ⅰ部 労働経済の推移と特徴 厚生労働省 

3、新型コロナウイルス後の日本の失業率

2020年9月の月次失業率は3.0%を記録しており、2019年と比べると約0.6%も上昇しています。

失業率増加の要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大です。
9月までの2020年月次完全失業率を見てみましょう。

完全失業率(月次)
1月 2.4%
2月 2.4%
3月 2.5%
4月 2.6%
5月 2.9%
6月 2.8%
7月 2.9%
8月 3.0%

参考:労働力調査 過去の結果の概要 総務省統計局

表を見ると、新型コロナウイルスが感染拡大しはじめた3月以降の失業率の増加がわかります。

厚生労働省の調べによると、2020年8月の有効求人数は前月比で0.9%増加となっているものの、同月の有効求職者数は前月比で4.7%増加にしました。

参考:足下の雇用・失業情勢や働き方等の変化について(事務局説明資料) 厚生労働省 

4、政府の雇用対策と経済対策

政府は失業率低下のために、雇用と経済に関する取り組みを行っています。

(1)雇用対策事業

政府では10分野に分けて雇用対策事業を実施しています。

【雇用対策事業10分野】

  • 介護、子育て、医療
  • 農林水産業
  • 環境、低炭素
  • 教育、若者支援
  • 観光振興、地場産業
  • 放送、情報通信
  • 定住外国人への日常生活支援
  • 防犯、防火
  • 文書等電子化、調査等行政業務、情報提供
  • その他

このうち、『介護、子育て、医療』と『農林水産業』の雇用対策事業をご紹介します。

①介護、子育て、医療

介護、子育て、医療の分野では、少子高齢化や女性の社会進出に対応するために、人材の確保とキャリアアップの環境整備が取り組まれています。

そのなかでも、『フレキシブル支援センター事業』をご紹介します。
フレキシブル支援センター事業は、地域の子ども、高齢者、障がい者の預かり及び見守りサービスを提供する事業です。

受入対象者をフレキシブル(柔軟)にすることで、サービスから漏れる人物を無くす狙いがあります。
また、キャリア面では離職者等の現場訓練の場として活用が可能です。

フレキシブル支援センターは、地域の介護や育児を支援するとともに、介護と福祉への就職やキャリアアップの場として期待できる事業です。

②農林水産業

農林水産業の分野では、主に人手不足を解消するための取り組みが行われています。

『農業分野における短期雇用創出事業』は、地域関係機関と協力し、短期的な労働力を必要とする農業法人等と離職者等のマッチングを実施する事業です。

単純な労働力の補填ではなく、将来の担い手確保のきっかけとして、活用が期待されています。

参考:雇用対策事業例 内閣府

(2)「日本はひとつ」しごとプロジェクト

厚生労働省の『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』は、東日本大震災の被災者の就労支援と雇用創出を目的としたプロジェクトです。

「日本はひとつ」という名前には、関係省庁、自治体、民間団体の枠を超えて支援に取り組むという意味が込められています。

『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』は、フェーズ1からフェーズ3までに分けられています。

フェーズ1、2では、復旧事業における地元企業の受注確保、地元資材の活用、被災者の就労確保などが取り組まれました。

フェーズ3では

  • 農地や漁港の早期復旧などの農林水産業の支援
  • 被災地の雇用事業を育てる被災地雇用復興総合プログラムの推進

などが実施されました。

参考:『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』 厚生労働省

(3)雇用調整助成金

雇用調整助成金は、事業者が労働者に払う休業手当等の一部を補助する制度です。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、創設されました。
制度の運用期間は、2020年4月1日から12月31日までです。

雇用調整助成金では、労働者へ支払う休業手当等のうち、最大10/10が助成されます。
上限は1人15,000円で、教育訓練を実施した場合は1人あたり日額最大2,400円が加算されます。

この助成金は雇用保険被保険者以外の学生アルバイト等への休業手当も助成対象です(名称は緊急雇用安定助成金に変更されるが、申請先や内容は同一)。

参考:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例) 厚生労働省

まとめ

今回は失業率について解説しました。

近年の日本の失業率は人手不足により回復傾向にありましたが、2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、再び増加しています。

今後の失業率の推移を注意深く見ていきましょう。