政治ドットコム地方自治市議会議員の給料はどれ位?市議会議員の報酬事情を解説

市議会議員の給料はどれ位?市議会議員の報酬事情を解説

投稿日2020.7.27
最終更新日2020.08.03

市議会議員に支払われる給料のことは、正確には「報酬」といいます。

市議会議員の報酬月額の全国平均は407,000円です(2019年時点)。
夏と冬のボーナスが計4カ月分だとすると、年収は約6,512,000円(=407、000円×(12カ月+4カ月))になります。

今回は市議会議員の報酬事情を紹介します。

1、市議会議員はどんな仕事

市議会議員の平均報酬月額470,000円を高いと感じるか安いと感じるかは、仕事内容によるのではないでしょうか。
そこでまずは、市議会議員の仕事をみていきましょう。

(1)議決権で市長の行政方針をチェックする

市議会議員の最も重要な仕事は、市議会が持つ議決権という権利を行使することです。
市民たちの日常生活の大部分は、市の行政によって営まれています。

市の方針は、最終的には市長が決定しますが、その方針(政策)を実行に移すかどうかは、市議会議員たちが決めます。

市長は、市民や市役所職員たちから考えを聞きながら「こういう行政をやりたい」「この事業を実施したい」と決めて、議案にして市議会に提出します。

市議会議員は、その議案を承認することも否決することもできます(議決権)。
承認されると予算がついて、市長は「やりたいこと」を実行できますが、否決されると、市長の「やりたいこと」は実行できません。

つまり市議会議員の仕事は、市長の行政方針をチェックすること、と言い換えることができます。

(2)予算を承認するかどうか

市長が「やりたいこと」を実行するには、お金が必要です。
そのため市長は、予算案を市議会に提出して、承認を受けなければなりません。

市議会はこのときも議決権を発動できます。
市長の「やりたいこと」が市民の暮らしをよりよくすることに繋がると判断できれば、市議会議員たちは予算案を承認し、そうでない場合は否決します。

これは予算の財源が市民の税金であるためです。
市民の代わりに税金の使われ方の正当性や有効性を審査することこそ、市議会議員の使命といえます。

市議会議員の市議内容や役割については以下の関連記事で更に詳しくご紹介しています。

市議会議員とは?仕事内容やなり方を簡単解説

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2、市議会議員の報酬事情

市議会議員がとても重要な仕事を担っていることが理解できたところで、その報酬事情を深掘りしていきましょう。

(1)その他の人たちの報酬や給料と比較してみる

2019年の全国の市議会議員の平均報酬月額は、先述のとおり407,000円でした。
都道府県議会議員の平均報酬月額は813,000円で、市議会議員のほぼ2倍になります。

町村議会議員の平均報酬月額は214,000円で、市議会議員のほぼ半額です。
行政の規模が大きくなるにつれて、議員報酬が高くなることがわかります。

また、企業などに務める給与所得者の平均給与は年4,407,000円(2018年時点)ですので、月額にすると367,250円となり、市議会議員の平均報酬月額より少し安い額になります。

そして市議会議員が受け取るお金は、報酬以外にもあります。

(2)報酬以外のお金「期末手当」

例えば神奈川県の横浜市は、市議会議員に毎月953,000円の報酬を支払っています。

この他に、6月と12月に期末手当が支給され、2019年6月と12月の期末手当の額はいずれも2,573,100円、でした。

これだけで年収は16,582,200円(=953,000円×12カ月+2,573,100円×2回)になります。
また、これ以外にも市議会議員にはその他の手当が支給されます。

(3)報酬以外のお金「費用弁償」

横浜市は市議会議員に「費用弁償」という手当のようなものも支払っています。
本会議や委員会に出席すると、1日あたり約1,000円〜3,000円程度のお金が支払われます。

(4)報酬以外のお金「政務活動費」

横浜市の市議会議員は、さらに「政務活動費」を受け取ることができます。
このお金は、市議会議員が個別に調査や研究をしたときに支払われます。

政務活動費は報酬とは別に受け取ることができます。
横浜市の政務活動費の上限額は1人月額550,000円となっています。

(5)議長や副議長になるとさらに増額

市議会の議長や副議長、委員長、副委員長は市議会議員のなかから選ばれますが、その役職につくとさらに報酬・手当は増えます。

横浜市議会議長の報酬は月1,179,000円で、一般の市議会議員の953,000円より23.7%増えます。

(6)市会議員が受け取るお金の構造

以上の内容をまとめると、市会議員が受け取るお金には次のような種類があります。

  • 報酬(毎月)
  • 期末手当(年2回)
  • 費用弁償(本会議や委員会に出席するごと)
  • 政務活動費
  • 役職による増額

3、市によって額は異なる

その他の市議会議員の報酬などをみてみましょう。

<埼玉県:さいたま市議会議員の報酬

月額報酬:759,925円

6月期末手当:1,842,986円

12月期末手当:2,018,508円

(年収:12,980,594円)

<千葉県:柏市議会議員の報酬

月額報酬:577,000円

6月期末手当:1,557,900円

12月期末手当:1,557,900円

(年収:10,039,800円)

横浜市議会議員の年収は約16,582,200円でしたので、市によってかなり開きがあることがわかります。

4、政務活動費や報酬に関わる問題点

政務活動費はマスメディアから「不正の温床」と非難されることもあります。

また、市議会議員の報酬については、「高すぎる」という市民の声があり、それが減額圧力になっていて、現在報酬は下落傾向にあります。

ここでは市議会における政治と金の問題について見ていきましょう。

(1)政務活動費を不正に受け取った市議の事例

広島市議会議員Kは、4人の補助職員を雇ったという内容の嘘の領収書を提出し、広島市の政務活動費計371万5千円をだまし取った容疑で、2017年に書類送検されました。

本人は容疑を否定しましたが、疑いのかけられた額に利息を加えて市に全額返済しました。
そして2020年2月に、広島地裁はKに対し、執行猶予つきの有罪判決を言い渡しました。

4人はKが利用する飲食店の従業員で、Kに頼まれて架空の領収書をつくったことなどを認めました。
もしこの4人が真実を隠し通していたら、立件できなかったかもしれません。

多額なうえにこのように受け取り安いため、政務調査費は「不正の温床」といわれてしまうこともあるのです。

(2)報酬の削減と議員の負担

市議会議員に対する市民の目は日に日に厳しくなっています。
これが市議会議員の報酬の減額へと繋がっています。

全国都道府県議会議長会によると、2002年の市議会議員の報酬額の全国平均を100とすると、2019年は94.5まで減りました。

市議会議員の報酬額の実際の金額は2002年の月額431,000円から2019年の407,000円へと、月24,000円減っているのです。

夏と冬の期末手当の合計が月額報酬の4カ月分だった場合、年収ベースで384,000円(=24,000円×(12カ月+4カ月))の減額になります。

その一方で、NKHが全国の地方議員に議員報酬に関するアンケートを実施したところ、「議員報酬だけでは家族を養えないので、専業主婦の妻が働くようになった」「子育て世代も議員を目指せるように、議員報酬を上げるべきだ」といった声が寄せられました。

まとめ

「政治の成果」は測りがたいので、市議会議員の「適切な報酬額」も簡単には割り出すことはできません。
それだけ一層、市議会議員も市民も報酬について考え続けなければならないでしょう。