デジタル庁とは、政府がこれから新たにつくる、行政の効率化やサービスの充実化といった課題に取り組む省庁です。
しかしこれだけでは、デジタル庁が具体的にどのような役割を持っているのか、わからないという方もいるかと思われます。
そこでこの記事では
- デジタル庁とは
- デジタル庁創設の背景
- デジタル改革関係閣僚会議
について解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。
省庁について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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1、デジタル庁とは
デジタル庁とは、国と自治体のデジタル化を進め、日本の抱える課題を解決していくための省庁です。
菅総理大臣が2020年9月に「デジタル庁を創設する」と表明したことで広く知れ渡ることになりました。
デジタル庁はどのような組織になり、具体的に何をするのでしょうか。
(1)デジタル庁準備室の発足
2020年10月時点でデジタル庁はまだできていませんが、デジタル改革担当大臣という新しい大臣はすでに誕生しています。
そしてデジタル改革担当大臣をトップにするデジタル庁準備室が2020年9月30日に発足しました。
デジタル庁準備室は、内閣官房の1組織としてつくられました。
職員は既に50名おり
- 総務省
- 経済産業省
- 厚生労働省
- 財務省
- 文部科学省
などから集められています。
参考:日本経済新聞
(2)デジタル庁の仕事
ではデジタル庁の仕事は具体的にどのようなものになるのでしょうか。
デジタル庁の主な仕事は、以下のように説明されています。
- 国と自治体のデジタル化
- 民間や社会のデジタル化支援
- 従来の住民サービスの刷新
- マイナンバーカード(個人番号カード)の普及促進
- スマホによる行政手続のオンライン化
これらの仕事はいずれも大事業になりそうですが、既存の省庁が取り組んでいるものもあります。
例えば経済産業省による、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を利用することで人々の生活をより良くする変革のことを指します。
また、マイナンバーカード(個人番号カード)の普及は、総務省が取り組んでいます。
参考:首相官邸 デジタル改革閣僚会議
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2、デジタル庁創設の背景
ここではデジタル庁創設の背景である
- 一元的な改革の推進
- デジタルデータの安全確保
- 縦割り行政の弊害
について解説します。
(1)一元的な改革の推進
現在政府は主に以下のような問題意識を持っていると言われています。
- 日本全体におけるデジタル化の遅れ
- デジタル化に必要な人材の不足
- 非効率的な行政システム
そのため行政サービスの効率化や大胆な規制改革を実行するために、デジタル庁をつくって一元的に改革を進めようという狙いがあります。
(2)デジタルデータの安全確保
日本経済団体連合会(経団連)は2020年9月23日に、「デジタル庁の創設に向けた緊急提言」を発表しました。
そのなかで、健全なデジタル社会を実現するために
- 個人情報の保護
- 堅牢なサイバーセキュリティ
が欠かせないと述べています。
この指摘からデジタル庁の仕事には、デジタルデータの安全確保に関する業務も含まれることになるかもしれません。
(3)縦割り行政の弊害
また、上記の経団連の緊急提言では、縦割り行政についても次のように触れています。
「各府省が所掌し実施しているデジタル関連施策・予算については、縦割の省庁体制で世界からの周回遅れを招いた実態に鑑み、一元的に所掌する組織を設ける必要がある」
経団連はこのように縦割り行政について言及しており、改革の推進を強く提言していることが伺えます。
この問題については政府も認識しており、実際に菅総理大臣が「行政の縦割りを打破する」と宣言しました。
3、デジタル改革関係閣僚会議
2020年9月23日には、デジタル改革関係閣僚会議が開かれました。この会議には
- 総理大臣
- 官房長官
- デジタル改革担当大臣
などを含む、21名すべての国務大臣が出席しました。
デジタル改革関係閣僚会議で話し合われた
- デジタル化の課題
- デジタル化課題への対策
について見ていきましょう。
(1)デジタル化の課題
会議では2020年のコロナ禍で浮き彫りになった、
- 経済・生活
- 働き方
- 教育
- 行政
- 医療
- 防災
についてのデジタル化の課題が紹介されました。
①経済・生活の課題
経済及び生活面での課題については以下の通りです。
- サプライチェーンの一部断絶による、物資の不足
- 工場や飲食店などの休業
- イベントなどの自粛
- オンライン手続の不具合
- 国と地方とのシステムの不整合
②働き方の課題
働き方の課題については以下の通りです。
- テレワークやWeb会議の増加
- テレワークの難しい業務の顕在化
- 押印手続などテレワークの阻害要因の判明
③教育の課題
教育面での課題については以下の通りです。
- 全国的な臨時休校
- 臨時休校に伴う、生徒の学習指導の確保
- オンライン教育に必要な基盤やノウハウの不足
④行政の課題
行政面での課題については以下の通りです。
- 給付金や助成金などの支援策に関する膨大な申請処理
- オンライン手続の不具合
- 国と地方とのシステム不整合
⑤医療の課題
医療面での課題については以下の通りです。
- 医療現場の人材、資材不足
- 医療機関のクラスター化
- オンライン診療を時限的拡大
- デジタル化の遅れ
⑥防災の課題
防災面での課題については以下の通りです。
- コロナ感染拡大時に災害が発生場合の、コロナ対策をしながらの災害対応
- マイナンバーカードによる罹災証明の発行
- AIを活用した被災者や現場の負担を軽減
以上の内容から、コロナ禍によってさまざまな問題が出てきたことがわかります。
(2)デジタル化課題への対策
デジタル改革関係閣僚会議では「コロナ禍で顕在化した課題に対応するため、デジタル施策を展開する」としました。
具体的なデジタル施策には、以下のようなものがあります。
- マイナンバーカードが「デジタル社会のパスポート」になるように普及を促進する
- 給付金制度でデジタル手続きとデジタル事務処理を行い、早期給付を実現する
- コロナ禍で臨時措置として導入した制度を定着・拡充させる
- クラウドを活用した国と地方のデジタル化、情報システムの共通化を進める
デジタル庁に関するQ&A
Q1.デジタル庁とは?
デジタル庁とは、国と自治体のデジタル化を進め、日本の抱える課題を解決していくための省庁です。
菅総理大臣が2020年9月に「デジタル庁を創設する」と表明したことで広く知れ渡ることになりました。
Q2.デジタル庁を創設した理由は?
以下のような理由からデジタル庁が創設されました。
- 一元的な改革の推進
- デジタルデータの安全確保
- 縦割り行政の弊害
Q3.デジタル化課題への対策は?
具体的なデジタル施策には、以下のようなものがあります。
- マイナンバーカードが「デジタル社会のパスポート」になるように普及を促進する
- 給付金制度でデジタル手続きとデジタル事務処理を行い、早期給付を実現する
- コロナ禍で臨時措置として導入した制度を定着・拡充させる
- クラウドを活用した国と地方のデジタル化、情報システムの共通化を進める
まとめ
今回はデジタル庁についてご紹介しました。国のデジタル化に関しては課題も少なくありません。
今後の動向を見守りましょう。
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