デジタル庁は2021年9月1日に発足した省庁で、行政の効率化やサービスの充実化といったデジタルに関する課題に取り組んでいます。
しかしこれだけでは、デジタル庁が具体的にどのような役割を持っているのか、わからないという方もいるかと思われます。
そこでこの記事では以下について解説します。
- デジタル庁とは
- デジタル庁創設の背景
- デジタル改革関係閣僚会議
本記事がお役に立てば幸いです。
省庁について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
省庁とは?1府11省1庁(1府12省庁)について簡単解説
1、デジタル庁とは
デジタル庁とは、国と自治体のデジタル化を進め、日本の抱える課題を解決していくための省庁です。
菅元総理大臣が2020年9月に「デジタル庁を創設する」と表明したことで広く知れ渡ることになりました。
デジタル庁はどのような組織で、具体的に何をするのでしょうか。
(1)デジタル庁の幹部
2023年時点でのデジタル庁の幹部は以下の通りです。
- デジタル大臣:河野 太郎 (こうの たろう)
- デジタル副大臣:大串 正樹 (おおぐし まさき)
- デジタル大臣政務官:尾﨑 正直 (おざき まさなお)
引用:デジタル庁
(2)デジタル庁の組織図
2023年4月1日時点での組織図は以下の通りです。
引用:デジタル庁
(3)デジタル庁のミッション・ビジョン・バリュー
デジタル庁の掲げているミッション・ビジョン・バリューは、以下の通りです。
①ミッション
誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。
一人ひとりの多様な幸せを実現するデジタル社会を目指し、世界に誇れる日本の未来を創造します。
②ビジョン
優しいサービスのつくり手へ。(Government as a Service)
国、地方公共団体、民間事業者、その他あらゆる関係者を巻き込みながら有機的に連携し、ユーザーの体験価値を最大化するサービスを提供します。
大胆に革新していく行政へ。(Government as a Startup)
高い志を抱く官民の人材が、互いの信頼のもと協働し、多くの挑戦から学ぶことで、大胆かつスピーディーに社会全体のデジタル改革を主導します。
③バリュー
一人ひとりのために
私たちは、この国とともに歩む人々の利益を何よりも優先し、高い倫理観を持ってユーザー中心のサービスを提供します。声なき声にも耳を傾け、一人ひとりに寄り添うことで、誰もがデジタルの恩恵を受ける社会をつくります。
常に目的を問い
私たちは、前提や慣習を前向きに疑い、世界に誇れる日本を目指し、新しい手法や概念を積極的に取り入れます。常に目的を問いかけ、「やめること」を決める勇気を持ち、生産性高く仕事に取組みます。
あらゆる立場を超えて
私たちは、多様性を尊重し、相手に共感し、学び合い補い合うことによって、チームとして協力して取組みます。また、相互の信頼に基づいて情報の透明性が高い、オープンで風通しのよい環境をもとに、自律して行動します。
成果への挑戦を続けます
私たちは、過度な完璧さを求めず、スピーディーに実行し、フィードバックを得ることで組織として成長します。数多くの挑戦と失敗からの学びこそがユーザーへの提供価値を最大化すると信じ、先駆者として学びを社会へと還元しながら、成果への挑戦を続けます。
引用:デジタル庁
(4)デジタル庁の仕事内容
デジタル庁の仕事内容として、以下が挙げられます。
- 国と自治体のデジタル化
- 民間や社会のデジタル化支援
- 従来の住民サービスの刷新
- マイナンバーカード(個人番号カード)の普及促進
- スマホによる行政手続のオンライン化
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
2、デジタル庁創設の背景
ここではデジタル庁創設の背景である以下について解説します。
- 一元的な改革の推進
- デジタルデータの安全確保
- 縦割り行政の弊害
(1)一元的な改革の推進
現在政府は主に以下のような問題意識を持っていました。
- 日本全体におけるデジタル化の遅れ
- デジタル化に必要な人材の不足
- 非効率的な行政システム
そのため行政サービスの効率化や大胆な規制改革を実行するために、デジタル庁をつくって一元的に改革を進めようという狙いがありました。
(2)デジタルデータの安全確保
日本経済団体連合会(経団連)は2020年9月23日に、「デジタル庁の創設に向けた緊急提言」を発表しました。
そのなかで、健全なデジタル社会を実現するために以下が欠かせないと述べています。
- 個人情報の保護
- 堅牢なサイバーセキュリティ
(3)縦割り行政の弊害
また、上記の経団連の緊急提言では、縦割り行政についても次のように触れています。
「各府省が所掌し実施しているデジタル関連施策・予算については、縦割の省庁体制で世界からの周回遅れを招いた実態に鑑み、一元的に所掌する組織を設ける必要がある」
経団連はこのように縦割り行政について言及しており、改革の推進を強く提言していることが伺えます。
この問題については政府も認識しており、実際に菅総理大臣が「行政の縦割りを打破する」と宣言しました。
3、デジタル改革関係閣僚会議
2020年9月23日には、デジタル改革関係閣僚会議が開かれました。この会議には
- 総理大臣
- 官房長官
- デジタル改革担当大臣
などを含む、21名すべての国務大臣が出席しました。
デジタル改革関係閣僚会議で話し合われた以下について見ていきましょう。
- デジタル化の課題
- デジタル化課題への対策
(1)デジタル化の課題
会議では2020年のコロナ禍で浮き彫りになった、以下についてのデジタル化の課題が紹介されました。
- 経済・生活
- 働き方
- 教育
- 行政
- 医療
- 防災
①経済・生活の課題
経済及び生活面での課題については以下の通りです。
- サプライチェーンの一部断絶による、物資の不足
- 工場や飲食店などの休業
- イベントなどの自粛
- オンライン手続の不具合
- 国と地方とのシステムの不整合
②働き方の課題
働き方の課題については以下の通りです。
- テレワークやWeb会議の増加
- テレワークの難しい業務の顕在化
- 押印手続などテレワークの阻害要因の判明
③教育の課題
教育面での課題については以下の通りです。
- 全国的な臨時休校
- 臨時休校に伴う、生徒の学習指導の確保
- オンライン教育に必要な基盤やノウハウの不足
④行政の課題
行政面での課題については以下の通りです。
- 給付金や助成金などの支援策に関する膨大な申請処理
- オンライン手続の不具合
- 国と地方とのシステム不整合
⑤医療の課題
医療面での課題については以下の通りです。
- 医療現場の人材、資材不足
- 医療機関のクラスター化
- オンライン診療を時限的拡大
- デジタル化の遅れ
⑥防災の課題
防災面での課題については以下の通りです。
- コロナ感染拡大時に災害が発生場合の、コロナ対策をしながらの災害対応
- マイナンバーカードによる罹災証明の発行
- AIを活用した被災者や現場の負担を軽減
以上の内容から、コロナ禍によってさまざまな問題が出てきたことがわかります。
(2)デジタル化課題への対策
デジタル改革関係閣僚会議では「コロナ禍で顕在化した課題に対応するため、デジタル施策を展開する」としました。
具体的なデジタル施策には、以下のようなものがあります。
- マイナンバーカードが「デジタル社会のパスポート」になるように普及を促進する
- 給付金制度でデジタル手続きとデジタル事務処理を行い、早期給付を実現する
- コロナ禍で臨時措置として導入した制度を定着・拡充させる
- クラウドを活用した国と地方のデジタル化、情報システムの共通化を進める
参考:首相官邸 デジタル改革閣僚会議
参考:首相官邸 デジタル化の現状課題
デジタル庁に関するQ&A
Q1.デジタル庁とは?
デジタル庁とは、国と自治体のデジタル化を進め、日本の抱える課題を解決していくための省庁です。
菅総理大臣が2020年9月に「デジタル庁を創設する」と表明したことで広く知れ渡ることになりました。
Q2.デジタル庁を創設した理由は?
以下のような理由からデジタル庁が創設されました。
- 一元的な改革の推進
- デジタルデータの安全確保
- 縦割り行政の弊害
Q3.デジタル化課題への対策は?
具体的なデジタル施策には、以下のようなものがあります。
- マイナンバーカードが「デジタル社会のパスポート」になるように普及を促進する
- 給付金制度でデジタル手続きとデジタル事務処理を行い、早期給付を実現する
- コロナ禍で臨時措置として導入した制度を定着・拡充させる
- クラウドを活用した国と地方のデジタル化、情報システムの共通化を進める
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政党 | 衆議院議員・自由民主党 |
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まとめ
今回はデジタル庁についてご紹介しました。国のデジタル化に関しては課題も少なくありません。今後の動向を見守りましょう。