政治ドットコム内閣その他の職務省庁とは?1府11省1庁(1府12省庁)について簡単解説

省庁とは?1府11省1庁(1府12省庁)について簡単解説

投稿日2020.6.30
最終更新日2020.06.30

「省庁とは何か?」と聞かれても、漠然としていて答えられない人は多いかもしれません。

日本には1府11省1庁(1府11省2庁、1府12省庁とされる場合もあります)の「省庁」があり、それぞれに持つ役割や規模によって名称が分けられています。

どの省庁も私たちの生活に密接に関係しているので、この記事を読んでぜひ学んでくださいね。

今回は、

  • 省庁の定義
  • 中央省庁再編の内容
  • 12省庁の役割

などについてわかりやすく解説したいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、省庁とは

「省庁」とは政策を行う行政機関を指し、

  • 法律の制定
  • 道路の整備
  • 農作物の管理

など、私たちの暮らしに欠かせない働きをしています。
省庁の別名でもある行政機関ですが、行政権(法を執行する権利)は内閣が持っています。
内閣と省庁の関係をわかりやすい図で見てみましょう。

行政機関

引用:行政機構図 内閣官房

上記の図のように行政権のもとに内閣があり、その下に省庁が並びます。
内閣の子どもが「省」であり、孫が「庁」のような関係です。

省庁には組織のトップである「大臣」が存在しますが、大臣の任命は内閣のトップである内閣総理大臣が行います。

大臣が不祥事で辞任する際に首相が「任命責任は私にある」と発言しているのを聞いたことがあるかもしれませんが、これは省庁と内閣の親子関係によるものです。

2、中央省庁再編

現在の1府11省1庁は再編されたもので、以前は1府22省庁の行政機関がありました。
2001年の森政権の政策によって現在の省庁の形の大枠が出来上がりました(2011年に復興庁ができるなどの変更あり)。

中央省庁再編の目的は、戦後型の行政システムを21世紀の行政システムとして再編し、省庁の効率性と透明性を改善することにあり、民間と地方に任せられる部分は分担し、合併できる省庁は統合するなど、大規模な行政機関の断捨離が行われました。

中央省庁等改革基本法に基づき中央省庁再編で改革された省庁の一覧を見てみましょう。

引用:省庁再編図 国土交通省

大きく統合されたのは内閣府、総務省、国土交通省で、総務省に統合された郵政省は2007年の郵政民営化を経て、郵政株式会社に移行しています。

3、12省庁について

1府11省1庁の「府」は内閣府を指していますが、まずは内閣府以外の12省庁のそれぞれの機能と役割を見てみましょう。

(1)総務省

総務省は12省庁の中でも幅広い仕事を持ち、国民の生活の基盤づくりと経済・社会支援を専門とする省庁です。

  • 行政運営の改善(各省庁の評価業務)
  • 地方行財政(地方自治体の管理)
  • 選挙
  • 消防防災(消防庁)
  • 情報通信
  • マイナンバーの管理
  • 公衆無線LANの整備
  • 5Gの普及
  • 日本郵政グループの監督

なども総務省の管轄です。

(2)法務省

法務省は、

  • 法の整備
  • 戸籍と国籍
  • 出入国管理
  • 刑事と更生
  • 裁判
  • 人権擁護

など多岐に渡る業務を持つ省庁です。
“法の秩序によって守られるべき分野”を専門にしているとも言えます。

「刑事は警視庁の仕事じゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、逮捕をするまでが警察の仕事であり、その後の調査と裁判、刑務所の入所から更生までは法務省が担当します。

法務省の下には検察庁、刑務所、司法試験委員会、出入国在留管理庁などが含まれ、法務大臣は死刑執行命令を下す権利も持っています。

(3)財務省

財務省は、

  • 国の予算の作成や決算
  • 税金の立案
  • 関税
  • 貨幣の発行
  • 日本銀行の運営
  • 国債の発行

など国のお金に関わることを専門とする省庁です。

財務省の下には国税庁があり、国税庁の下には税務署があります。
金融庁が金融の監視・監査を行う一方で、財務省は国の経済全体を管轄としています。

(4)厚生労働省

厚生労働省は

  • 社会福祉
  • 社会保障
  • 公衆衛生の向上
  • 労働環境の整備
  • 職の安定
  • 人材の育成

を担う省庁で、国民の健康と労働をサポートしています。

コロナウィルスの報道で厚生労働省の大臣を見ることが多くありましたが、これは厚生労働省設置法で「感染症の発生及びまん延の防止」などの業務は厚生労働省の担当とされているためです。

(5)外務省

外務省は外交を専門とする省庁で、

  • 外国との交渉
  • 交流
  • 国際会議の参加
  • 国際機関との強力
  • 条約の締結
  • 国際情勢の調査
  • 外国での日本人の保護
  • パスポートとビザの発給

などを担当しています。大使館、領事館は外務省の管轄です。

外務省は1869年から続く歴史ある省庁でもあり、難民の救済で知られる杉原千畝(すぎわらちうね)や皇室の皇后雅子様も外務省の外交官としての経歴を持っています。

(6)農林水産省

農林水産省は名前の通り、農業・林業・水産業・畜産業に関係する省庁です。

  • 食料の安定供給
  • 国土の開発
  • 飲食料品の消費の調整
  • 食品の安全確保
  • 農林水産植物の品種登録

などの業務を担い、食卓に関係する分野のため、私たちの生活に最も密接な省庁と言えるかもしれません。

最近では農林水産省が改正を進めていた「種苗法(しゅびょうほう)」に注目が集まり、日本で開発された品種の流失防止と保護が急がれています。

(7)文部科学省

文部科学省は、教育、科学技術、スポーツ、文化を担当する官庁です。

文部科学省の中にはスポーツ庁と文化庁があり、各都道府県の教育機関と教育委員会に指導や助言を行います。

文部科学省の予算を金額の多い順に見てみると、義務教育費国庫負担金、修学支援、国立大学法人運営費交付金となり、教育分野に深い関係のある省庁であることがわかります。

(8)経済産業省

経済産業省は経済の発展とエネルギーの確保を専門とする省庁です。
電気、ガス、石油などのエネルギーの管理(資源エネルギー庁)、経済に関係する中小企業庁、特許庁などが含まれています。

コロナウィルスの流行によって多くの中小企業がダメージを受けましたが、企業に対する持続化給付金や家賃支援給付金の給付、テレワークの推進なども経済産業省の管轄です。

(9)国土交通省

国土交通省は、空路、道路、海路、土地の整備・管理を専門とする省庁です。

中央省庁再編で「運輸省、建設省、国土省、北海道開発庁」が統合されて生まれた省庁で、観光庁、気象庁、海上保安庁も含まれています。

国土交通省と観光庁は接点がないように見えるものの、運輸省の中にあった観光部が再編されたものが観光庁になります。

(10)防衛省

防衛省は日本の安全維持、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の運用、各国との防衛協力を担う省庁です。

国土交通省に属する海上保安庁と海上自衛隊は混同されがちですが、海上保安庁は海難の救助や環境保全を、海上自衛隊は不審船や外国からの攻撃に対する防衛を担当します。

国際平和維持活動(国連PKO)への協力も防衛省の仕事であり、活躍の場は国内外に広がっています。

(11)環境省

環境省は

  • 公害の防止
  • 廃棄物の管理と資源の再利用
  • 公園の整備
  • 自然保護

など日本の環境を守る仕事を担う省庁です。
その保護対象は国内だけではなく、海洋、南極、オゾン層など地球規模に広がっています。

環境省の中には東日本大震災を受けて原子力規制委員会も設置され、原子力に関しては経済産業省の資源エネルギー庁も管轄ですが、経産省は「推進」、環境省は「規制」という立場でバランスを維持しています。

(12)復興庁

復興庁は2011年に発生した東日本大震災からの復興のために設置された省庁です。
復興には地震だけではなく、原子力発電所の事故からの復興も含まれ、

  • 被災者支援
  • 交通と住宅の復旧
  • 放射性物質の除去

など原子力災害からの再生事業などを行っています。

2013年から復興特別所得税と復興特別法人税の徴収が始まりましたが、これらの税金は復興庁の活動に使われています。

4、内閣府について

省庁には1府11省1庁がありますが、ひとつだけ「府」という名称が付けられている機関があります。
これは「内閣府」と呼ばれ、ほかの省庁とは異なる性格を持ちます。

内閣府の役割と内閣府に属する庁について見ていきましょう。

(1)内閣府の役割

内閣府は2001年の中央省庁再編で設置された機関で、内閣府のリーダーは内閣総理大臣が務めます。

内閣府は総理大臣が担当すべき重要な行政機関を内蔵し、複数の省庁にまたがる問題の解決を図るパイプ役としての役割もあります。

つまり、内閣府は内閣総理大臣の政策をサポートするために各省庁の調整を行い、事務作業を行う事務所のような存在です。

(2)内閣府に属する行政機関

内閣府の中には行政委員会や庁などがあります。
詳しく見ていきましょう。

①宮内庁

宮内庁は皇室に関係する仕事を専門とする省庁です。
宮内庁の中には

  • 皇族の身の回りのお世話をする侍従職
  • 上皇職
  • 皇嗣職

があり、宮内庁病院や宮内公文書館(図書館)、郵便局なども含まれ、様々な分野を担当します。

②消費者庁及び金融庁

消費者庁は「食品表示制度、景品表示法、特定商取引法」などを運用することで消費者が悪徳商法の被害を受けないように守る役割を持つ省庁です。

商品の購入で被害に遭った場合は、消費者ホットライン188番で対応してもらえます。
金融庁は金融全般の仕事を担い、金融機関の監督、金融のルールづくり、金融取引(証券や株式)などの監視を行う省庁です。

私たちがお金を安全に借りたり、運用できるのは金融庁のおかげといえるでしょう。

③警察庁及び国家公安委員会

国家公安委員会は内閣府の外局にあたる行政委員会であり、主に警察庁の管理を行います。
警察庁はこの国家公安委員会の特別機関にあたるのです。

警察庁は、全国の警察のまとめる役割を持つ省庁です。
内閣の政策の実現のために都道府県の警察に指示を出し、犯罪捜査やテロ対策、災害時の対応なども行います。

また、全国の警察組織間の連絡をスムーズにするために警察情報通信の運用も担当しています。

ちなみに1府11省2庁として省庁を数えた場合、国家公安委員会(警察庁)を12省庁の内に入れてカウントすることがあります。

④個人情報保護委員会

個人情報保護委員会は内閣府の外局にあたる行政委員会で、2016年から始まったマイナンバー制度を受けて設置され、国民の個人情報の保護を目的としています。

個人情報に関連する法律には、「個人情報保護法、マイナンバー法、行政機関個人情報保護法」などがあり、個人情報委員会はこれらの法律がきちんと守られているのか、行政機関・地方公共団体・民間に対して監視・監督を行っています。

⑤カジノ管理委員会

カジノ管理委員会は内閣の外局にあたる行政委員会であり、2020年1月に設置されたばかりの新しい委員会です。

日本ではカジノが禁止されてきましたが、2016年のIR推進法、2018年のIR整備法(実施法)の成立を経て、カジノの解禁が近づいています。

国の監視下で安全にカジノを運営するために、カジノ規制制度の企画、免許制度の運用などを提案し、カジノ政策に対する国民の信頼を得ることがカジノ管理委員会の目的です。

⑥公正取引委員会

公正取引委員会は内閣の外局にあたる行政委員会であり、独占禁止法を運用するために設置された機関です。

独占禁止法とは市場競争を公平に保つために成立された法律で、公正取引委員会は企業の不正がないか市場を監視する役割を担い、「市場の番人」という別名も持っています。

まとめ

今回は1府11省1庁の「省庁」について解説しました。

流行したコロナウィルスや延期された東京オリンピック・パラリンピックなど、日本で起きるすべての事柄に対応しているのが省庁であり、政府の実働部隊でもあります。