地産地消とは、地域で生産された農産物を地域で消費することです。
今回の記事では
- 地産地消とは
- 地産地消のメリット
- 地産地消の取り組み|北海道釧路市の事例
- 地産地消と適地適作の違い
について解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、地産地消とは
地産地消とは、その地域で生産されたものを(地産)、その地域で消費する(地消)ことを指します。
地産地消の場は、農作物の直売所だけではありません。
画像引用元:地産地消とは 日本特産農産物協会
- スーパー
- 学校
- 福祉施設
- 病院
- 観光施設
- 外食
- 加工業者
なども地産地消の場です。
2、地産地消のメリット
地産地消による
- 消費者
- 生産者
- 生産者と消費者をつなぐ人
におけるメリットについて、解説していきます。
(1)消費者にとってのメリット
消費者としての地産地消の最大のメリットは、新鮮で美味しい農産物を安く入手できることです。
下記は、地元農産物を購入した消費者の満足度を表すグラフになります。
味・鮮度ともに満足度は高く、価格・数量は購入前よりも購入後の満足度が高くなっていることがわかります。
画像引用元:(購入後の満足度が高い地元産農産物)(2)地産地消の推進 農林水産省
美味しい農産物を入手できる以外にも
- 食の安心を確保できる
- 食への理解を深められる
- 地域との繋がりを感じられる
- 環境に配慮できる
などのメリットもあります。
生産者と対話することで、消費者は生産状況を確認できます。
生産者から直接話を聞くことで、食に対する理解を深めるきっかけにもなるでしょう。
また、地元の農産物を消費することは、地元の農水産業の支援に繋がります。
「消費=支援」を通して、消費者が地域との繋がりを感じられることも、地産地消の魅力です。
更に地産地消では、農産物を遠くまで運ぶ必要がないため、自動車や飛行機から排出されるCo2の削減に繋がり、環境面でも優しい消費といえます。
参考:地産地消って何がいいの? 東海農政局
参考:食の見直しは温暖化防止に繋がる! 公益財団法人 北海道環境財団
(2)生産者にとってのメリット
生産者における地産地消のメリットには
- 消費者と直接対話することで地域の消費者ニーズを掴める
- 消費者の反応や評価を品質改善やサービスの向上に生かせる
- 流通経費を抑えられるので手取りの収益を増やせる
- 規格外品や不揃い品も販売できる
などがあります。
地産地消では、農産物が少量であっても販売できるため、小規模生産者にも所得の機会を創出できます。
画像引用元:特集1青果物の流通 「新鮮」をお届けします!(5)
(3)生産者と消費者をつなぐ人にとってのメリット
生産者と消費者をつなぐ人とは、
- スーパー
- レストラン
- ホテル
- 市町村
- 栄養士
- 食品製造業者
などを指します。
生産者と消費者をつなぐ人における、地産地消のメリットとして以下の通りです。
- スーパー:地元の農産物を売ることで、新鮮かつ安心な農産物を求める消費者を確保できる
- レストラン、ホテル:地元の食材を生かしたメニューを提供することで、地元や観光客を集められる
- 市町村、栄養士:給食に地元の農畜産物を取り入れることで、生徒の食育につなげられる
- 食品製造業者:地元の食材を使うことで、流通経費や環境負担を軽減できる
学校での給食を例に、地産地消のメリットを見てみましょう。
画像引用元:(多様な主体が役割を発揮した地産地消による食料自給率の向上)(2)地産地消の推進 農林水産省
地産地消の取り組みの一環として、学校の給食に地元の農畜産物を使うことで、自然な形で食育をすることができます。
また、地域が連携して食を提供するため、安全な食事を子どもたちに提供できることも地産地消のメリットです。
3、地産地消の取り組み|北海道釧路市の事例
北海道釧路市では、地域一体で地産地消を推進するために、2004年に生産者・流通事業者・支援団体など17団体が参加する「地産地消くしろネットワーク」を設置しました。
「地産地消くしろネットワーク」の取り組みである
- フェイスブックの利用
- 出前授業
- 地産地消イベント
についてご紹介します。
画像引用元:くしろの地産地消(地産地消ネットワーク) 釧路市
(1)フェイスブックの利用
地産地消くしろネットワークでは、釧路産の食材が食べられたり、購入できたりする店舗の情報をフェイスブックで発信しています。
また、フェイスブックでの掲載店舗の募集を随時行っており、
- 釧路管内の地場産品を販売していること
- 釧路管内の地場産品を料理に使用し提供していること
- 釧路管内の地場産品を用いた地産地消につながるイベントを開催していること
などを条件として定めています。
参考:【募集中】地産地消くしろネットワークのフェイスブックでシェアする地場産品の投稿記事を大募集 釧路市
(2)出前授業
出前授業とは、小学校を対象とした、釧路の地場産業と地場産品に関する授業の提供です。
提供される授業には
- 調理実習等を通したエゾシカの地場産品の学習
- 大塚製薬と連携したオロナミンCの出前授業(音別町で生産されたオロナミンCと釧路管内で作られた根釧牛乳を混ぜる「オロナミンミルク」作り体験)
などがあります。
(3)地産地消イベント
地産地消イベントには、
- 小学生向け
- 大人向け
の2種類のイベントがあります。
小学生向けのイベントでは、探検ツアーと称して、釧路の産業や自然の見学・体験を実施することで、地場産業や地場産品への理解を促進しています。
大人向けのイベントでは、釧路市の食材をテーマにした料理教室を開催し
- スケトウダラ
- エゾシカ肉
- パプリカ
などの釧路市のテーマ食材を使用しています。
レシピは市内のスーパーでも配布されます。また、釧路市の食材を使ったレシピはインターネット(くしろの食財レシピ集)からも入手できます。
4、地産地消と適地適作の違い
地産地消とは、地域の農産物を地域で消費することです。
適地適作とは、土地に適した農作物を栽培することです。
例えば、りんごの生産には
- 年平均気温6~14度
- 雨が少ない
- 涼しい
という条件を満たす地域が、栽培に最適であるとされています。
そのため青森県や長野県は、りんごの適地適作を行っていると言えます。
参考:気候変動に対応した「適地適作」_シリーズ『気象情報を活かした強い農業経営』Vol.3 アグリウェブ 農林中央金庫 参考:りんご栽培のポイント 農林水産省
まとめ
今回は地産地消について解説しました。
地産地消は、消費者と生産者のどちらにもメリットがあります。
地元の食材を通して、地域の産業や環境に関心を持てることも、地産地消の面白さかもしれません。
地産地消に興味を持たれた方は、適地適作についても学んでみてください。