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ふるさと納税とは?メリット・注意点・税金控除と還付の仕組みを解説

投稿日2023.4.5
最終更新日2023.04.27

ふるさと納税を始める人が増えましたが、どんな制度なのか分からないという方もいるのではないでしょうか。

ふるさと納税は応援したい地域に寄附することで、返礼品がもらえたり、住民税の控除や所得税の還付ができたりとメリットの多い制度です。しかし、注意点を知らないと損する可能性もあります。

この記事では、主に以下の4点について解説いたします。

  • ふるさと納税の制度や仕組み
  • ふるさと納税のメリット
  • ふるさと納税の注意点
  • ふるさと納税の社会的問題点

税金の種類や役割について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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1、ふるさと納税とは?

ふるさと納税をすると、納税するだけで返礼品をもらえると言われがちですが、具体的には以下のような仕組みになっています。

(1)ふるさと納税の制度と仕組み

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。
また、ふるさと納税をすることで、以下のメリットがあります。

  • 返礼品が貰える
  • 納税金額から2,000円を差し引いた金額分の住民税・所得税控除を受けられる

つまり、2,000円の自己負担で豪華返礼品を受け取れるお得な制度ということです。

(2)ふるさと納税は何のためにつくられた?

ふるさと納税は「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた『ふるさと』に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という思いからできた制度です。

従来の納税システムだと、ふるさとの行政サービスを受けて育ったのにもかかわらず、就職先が都心になった場合に、自分の住んでいる地域にしか税金を収めることができませんでした。
どうせ納税をするなら、自分の育ったふるさとに還元したいという思いから生まれたのがふるさと納税です。

2、ふるさと納税のメリット

ふるさと納税はお得な制度とよく言われていますが、具体的にどのようなメリットがあるのか詳しく解説いたします。

ふるさと納税のメリットは主に以下の3つです。

(1)返礼品がもらえる

ふるさと納税をするメリットは返礼品が貰えることです。
地域によって返礼品は様々で、主に地域の特産品が返礼品となるケースが多いです。

返礼品は寄付した金額の30%以内で調達したものでなければならないというルールがあります。

ふるさと納税の自己負担額は2,000円なので、最低でも1万円以上納税すれば、自己負担額よりもお得な返礼品を貰うことができます。

例)1万円を納税した場合
10,000円(納税額) × 30%(返戻率) – 2,000円(自己負担額)
= 1,000円(返礼品によって得する目安金額)

(2)寄附金の使用目的を選べる

ふるさと納税では、寄付金の使用用途を選べるケースが多いです。
災害支援や教育支援など、自分が解決してほしいと感じている社会課題に対して寄付できるメリットがあります。

(3)税金の控除や還付を受けられる

ふるさと納税控除額グラフ

ふるさと納税で寄付した金額のうち、自己負担額の2,000円を除いた全額分の税金控除を受けることができます。

例)3万円を寄付した場合
30,000円(寄付金額) – 2,000円(自己負担額) = 28,000円(控除金額)

税金控除の制度があることで、普段納税している金額とほとんど変わらない納税額で返礼品を受け取ることが可能になっています。

3、ふるさと納税の注意点

ふるさと納税は基本的にお得な制度ですが、場合によっては損することにもなりかねないので以下の点に注意しましょう。

(1)税金の控除や還付は翌年

ふるさと納税による税金の控除や還付は翌年から受けることが可能です。
控除や還付を受けられるタイミングは住民税と所得税で異なります。

  • 住民税:翌年6月~翌々年5月までの住民税から毎月控除
  • 所得税:翌年4月~5月頃に還付が受けられる

(2)控除には限度額がある

ふるさと納税の寄付金額に上限はありませんが、控除金額に上限があります。
控除金額の上限を上回る金額を寄附すると自己負担額が増えることになるので注意が必要です。

控除金額の上限は、寄付者の家族構成や収入によって異なります。
下記は控除金額上限の早見表です。

※早見表の控除上限額はあくまで目安です。

ふるさと納税を行う方本人の給与収入

ふるさと納税を行う方の家族構成

独身又は共働き*1 夫婦*2又は共働き

子1人
(高校生*3)
共働き

子1人(大学生*3)
夫婦

子1人
(高校生)
共働き

子2人
(大学生と高校生)
夫婦

子2人
(大学生と高校生)
300万円 28,000円 19,000円 15,000円 11,000円 7,000円
350万円 34,000円 26,000円 22,000円 18,000円 13,000円 5,000円
400万円 42,000円 33,000円 29,000円 25,000円 21,000円 12,000円
450万円 52,000円 41,000円 37,000円 33,000円 28,000円 20,000円
500万円 61,000円 49,000円 44,000円 40,000円 36,000円 28,000円
550万円 69,000円 60,000円 57,000円 48,000円 44,000円 35,000円
600万円 77,000円 69,000円 66,000円 60,000円 57,000円 43,000円
650万円 97,000円 77,000円 74,000円 68,000円 65,000円 53,000円
700万円 108,000円 86,000円 83,000円 78,000円 75,000円 66,000円
750万円 118,000円 109,000円 106,000円 87,000円 84,000円 76,000円
800万円 129,000円 120,000円 116,000円 110,000円 107,000円 85,000円
850万円 140,000円 131,000円 127,000円 121,000円 118,000円 108,000円
900万円 151,000円 141,000円 138,000円 132,000円 128,000円 119,000円
950万円 163,000円 154,000円 150,000円 144,000円 141,000円 131,000円
1000万円 176,000円 166,000円 163,000円 157,000円 153,000円 144,000円

*1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が141万円以上の場合)
*2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。(ふるさと納税を行う方本人が配偶者控除を受けている場合)
*3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
*4中学生以下の子供は、控除額に影響がないため計算に入れる必要はありません。
例:「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」の場合と同額になります。
例:「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。

引用:総務省|ふるさと納税ポータルサイト

(3)確定申告またはワンストップ特例制度の利用が必要になる

ワンストップ特例制度

ふるさと納税によって税金の控除を受けるには、確定申告またはワンストップ特例制度の利用をする必要があります。

ワンストップ特例制度とは?
ワンストップ特例制度は、確定申告なしで控除手続きできる制度のことです。
寄付先の自治体に、特例制度の申請書とマイナンバー書類を送付するだけで簡単に手続きができます。ワンストップ特例制度を利用するには以下の条件を満たしている必要があります。

  • 寄付先は5自治体以下
  • もともと確定申告が必要ない人
    (普段は年末調整だけの会社員など)

確定申告またはワンストップ特例制度の申請を忘れると税金控除を受けることができないので、必ず行うようにしましょう。

4、ふるさと納税の社会問題

ふるさと納税は国民にとってお得な制度である一方、社会問題となっているのも事実です。

(1)返礼品を目的とした寄附が増えている

ふるさと納税とは本来、応援したい地域や故郷に寄付する目的のもとに創られた制度です。
しかし、現状は魅力的な返礼品のためにふるさと納税をする人が多く、本来の目的と反しているという声が上がっています。

(2)一部自治体に寄附が集中し、その他の自治体では減収となっている

上記で説明した通り、返礼品目的で納税が集中することから、一部地域にのみ税収が集中してしまい、その他の地域では税収が大幅に下がってしまうことが問題になっています。

実際に神奈川県川崎市では、ふるさと納税によって100億円以上の税収が流出したことで話題になっています。

参照:讀賣新聞

住民税は本来、その地域の教育や福祉、ごみ処理などにかかるお金のための税金です。
ふるさと納税によって一部地域に寄附が集中すると、税収が低下した地域の行政サービスに悪影響が出る可能性があるため深刻な問題となっています。

まとめ

ふるさと納税とは生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度で、返礼品がもらえることからも利用したくなる制度かと思います。

ふるさと納税の仕組みはお得である一方、社会的な問題が発生しているのも事実です。
この記事を機に、税金や政治経済などに興味を持っていただけると幸いです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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