政治ドットコム経済国内総生産(GDP)とは?GDPとGNIの違いや課題について

国内総生産(GDP)とは?GDPとGNIの違いや課題について

投稿日2020.7.27
最終更新日2020.08.17

「国内総生産(GDP)」とは、国内で一定期間生産された財とサービスの付加価値額の総和を指します。

言葉だけを見ると難しい印象を受けますが、国内総生産(GDP)とは国と国民の稼ぎをまとめて計算することで経済規模と経済力を計る重要な数字である、と説明すればわかりやすいかもしれません。

つまり、GDPとは日本のすべてをまとめて集計する決算のような存在です。
今回は

  • 国内総生産(GDP)の算出方法と内訳
  • 日本のGDPの現状
  • GNIとGDPの違い
  • 今後の課題

についてわかりやすく簡単に解説していきたいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、国内総生産(GDP)とは?

国内総生産(GDP)
冒頭でも説明した通り、国内総生産(GDP)とは「一定期間その国で生産された財とサービスの付加価値額の総和」を指し、今どれだけ国に経済力があるのかという目安がGDPになります。

GDPはGross Domestic Productが略されたもので

  • Gross=合計
  • Domestic=国内
  • Product=生産

を意味し、

  • 四半期毎(約3か月ごと)に発表される「四半期別GDP速報」
  • 年に1回発表される「国民経済計算確報」

のそれぞれが内閣府の経済社会総合研究所から発表されます。

四半期別GDP速報は短期的に、国民経済計算確報は長期的に景気を計る目安として用いられ、速報と確報では前年と比べて景気がどのくらい良くなったのか(または悪くなったのか)を判断する「経済成長率」も発表されます。

GDPの算出方法とその内訳を見てみましょう。

(1)算出方法

GDPの算出には「Y=C+I+G+(X-M)」の計算式が使われます。
それぞれの意味は

  • Y=GDP
  • C=消費
  • I=投資
  • G=政府の支出(公共事業)
  • X=輸出
  • M=輸入

となり、計算式に当てはめると、GDP=民間消費+民間投資+政府の支出+(輸出ー輸入)となります。

(2)名目GDP

GDPの算出には市場価格が関係し物価は常に変動するため、GDPには

  • 名目GDP
  • 実質GDP

の2種類のGDPがあります。

「名目GDP」では物価の変動がそのままGDPに反映され、生産数に市場価格をかけて導き出されるため、価格が倍になるとGDPも倍になります。

しかし、価格が上がっているだけで経済の規模が大きくなっているわけではないため、名目GDPの解釈には注意が必要です。

参考:名目GDP 野村證券

(3)実質GDP

物価の変動が反映される名目GDPに対して「実質GDP」では物価の変動が反映されません。
それぞれの経済成長率も見てみましょう。

経済成長率は(当期GDPー前期GDP)÷前期GDP×100で導き出すことができます。
計算すると、名目GDPの成長率は25%、実質GDPの成長率は50%となり、実質GDPでは物価の変動が反映されていないため、名目GDPよりも経済成長率が高くなります。

この物価の変動が良い意味で起きたのか、悪い意味で起きたのかは時期によって異なるため(いわゆるインフレとデフレの良し悪し)、国の経済成長率を計る目安には物価の変動が反映されない実質GDPを使うことが一般的です。

参考:名目値と実質値の違いは? 内閣府

2、今の日本のGDPはどれくらいなのか

アメリカ、中国と並ぶ経済大国と呼ばれる日本ですが、今のGDPはどれくらいなのでしょうか?
日本の順位と国民1人当たりの名目GDPから日本の経済力を見てみましょう。

(1)日本の順位

2018年度の名目GDPランキングを見ると、日本の名目GDPは4兆9464億ドルです。
アメリカ、中国に次いで第3位となっています。

名目GDPから割り出した世界に占める比率を見ると、

  • アメリカ23.9%
  • 中国16.1%
  • 日本5.7%

となり、圧倒的にアメリカと中国の世界シェアが高いことがわかります。

参考:GDPの国際比較 内閣府

しかし、上位2カ国の人口や国土と比較しても日本の第3位という順位は誇るべきものでしょう。
この順位は実質GDPでも変化はなく、1位アメリカ、2位中国、3位日本の順となっています。

参考:世界の実質GDP 国別ランキング・推移 グローバルノート

(2)国民1人当たりの名目GDP

次に、国民1人当たりの名目GDPのデータを見てみます。
国民1人当たりの名目GDPとは名目GDPを人口で割った数のことで、国民ひとりの生産性や豊かさをより細かく把握することができます。

内閣府の発表によると、2018年度の日本の1人当たりの名目GDPは3万9182ドルです。
国別GDPで3位だったにもかかわらず、1人当たりのGDPはOECD加盟国(主要な先進国が加盟している経済同盟のこと)の中で20位とかなり低い順位になっています。

参考:主要国の一人当たり名目GDP 内閣府

この原因にはさまざまな理由が挙げられるものの、企業の長時間労働や残業による従業員の疲弊や、日本社会の構造に無駄が多く、改革が進んでいないことが要因のひとつであると言われることがあります。

3、国民の儲け|国民総所得(GNI)

GNI
国民総所得とは「GNI(Gross National Income)」と呼ばれるもので、それぞれの単語は

  • Gross=合計
  • National=国民の
  • Income=所得

を表し、GDPが国の生産性を示す一方で、「GNI」は国民が国外から得た所得が計算されます。
近年のグローバル化とともにGNIは増加傾向にあり、

  • 日本のGNIは5兆2265億9930万ドル(世界ランキング3位)
  • 1人当たりのGNIは41310ドル(世界ランキング20位)

となっていて、GNIにおいても国別と1人当たりで順位に差が開いていることがわかります。

参考:1人あたりの国民総所得(GNI)の多い国・地域 外務省
 国民総所得(GNI)の高い国 外務省

GDPは国内に限定されるため、このGNIを導き出すことによって世界を舞台に日本経済がどのような影響を及ぼしているのか把握することができます。

また、GNIは観光業界の収益にも深い関係性があり、コロナ禍による外国人観光客の減少によって日本経済が大打撃を受けたことは言うまでもありません。

このGNIには安倍首相も注目し、アベノミクスの成長戦略の中で1人当たりのGNIの引き上げを提言したことでも有名です。

4、今後の課題

国内総生産(GDP)に関わる今後の課題とされるのが、少子高齢化です。
GDPは国の生産性を計る目安ですが、少子高齢化では労働人口が減少し、高齢者(非労働人口)が増加するため、GDPの落ち込みは免れることはできません。

少子高齢化の対策としては

  • 経験豊富な高齢世代に労働力として再活躍してもらう
  • 非労働人口を占める女性の社会進出を促し労働力を増やす

などが挙げられ、同時に、人口に頼らず国としての生産性を上げるために

  • どの国にも負けない特化した産業を発展させ国際的な需要を高める
  • 海底資源を開発し輸出産業を開拓する

などの成長戦略も提言されています。

参考:日本の少子高齢化と経済成長 ニッセイ基礎研究所

少子高齢化については以下の関連記事でより詳しくご紹介しています。

少子高齢化とは?問題点と解決策を簡単解説

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まとめ

今回は「国内総生産(GDP)」についてご紹介しました。

コロナ禍の中、先の見えない未来に不安を感じることもありますよね。
GDPはただの数字に過ぎませんがその背景を知れば経済を読み解くことができます。

内閣府のページではGDPの統計を誰でも閲覧することができるので暮らしやビジネスにぜひ役立ててみてください。