政治ドットコム未分類IMFとは?正式名称や加盟国、世界経済見通しなどの刊行物をわかりやすく解説

IMFとは?正式名称や加盟国、世界経済見通しなどの刊行物をわかりやすく解説

投稿日2023.2.6
最終更新日2023.02.06
この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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IMFとはどのような機関なのでしょうか?
また、どのような目的で設立され、具体的にどのような活動を行なっているのでしょうか。

本記事では、IMFについて以下の3点を解説します。

  • IMFの概要と設立の目的
  • IMFの取り組み
  • IMFが発表する世界経済見通し(WEO)

1、IMFとは

(1)IMF(国際通貨基金)の概要と設立の目的

IMFとは、「International Monetary Fund」の略語です。
日本語では「国際通貨基金」と表現します。

世界の金融危機を防ぐため、国際通貨のバランスを保つため、そして、開発途上国の経済発展を支援するために1944年に設立されました。
2022年10月末現在、IMFは190カ国の会員国から構成されており、それぞれの国から出資金を集めて運営されています。

主な会合として、年1回秋に開催される年次総会と呼ばれる世界銀行と合同の総務会、原則年2回開催される国際通貨金融委員会(IMFC)などが挙げられます。

(2)IMFの財源は?運営方法について

主なIMFの財源は、会員国からの出資です。
各国は自国のGDPに応じた拠出金額をIMFに出資します。

IMFは各国からの出資額を用いて、通貨危機や金融危機に対処するために、貸付を行ったり、支援プログラムを提供するなどの加盟国のサポートを行います。

IMFは、各国からの出資に加え、特別引出権(SDR)と呼ばれる特別な通貨を発行することで、資金を調達します。
SDRとは、米ドルやユーロ、日本円といったIMF加盟国で流通する各通貨の比率に基づいて相場が決定する仮想通貨です。

SDRは加盟国間での支払いのバランスを保つために使用されます。
また、IMFの加盟国が通貨不足に陥った場合、IMFは加盟国に対し、SDRと引き換えに通貨を貸し出し、通貨不足の緩和へ導きます。

2、IMFの取り組み

IMFの取り組みとして、大きく以下の3つが挙げられます。

  1. サーベイランス
  2. 金融支援
  3. 能力開発

詳しく説明します。

(1)サーベイランス

サーベイランス(政策監視)とは、IMFが実施する各国の経済状況や政策の見通しに関する調査や分析と定期的な加盟国政府との政策対話の動きを指します。

サーベイランスはIMFが提供するサービスの1つです。
世界各国の経済状況を監視し、分析し、そして政策提言を行うことで、国際通貨制度の安定を維持し危機を防ぐことが目的です。

(2)金融支援

金融支援とは、経済危機や財政難に陥っている国や地域に対して、資金援助を行うことを指します。

金融支援を必要なタイミングで行うために必要なのが、資金調達です。
IMFは各国からの出資金、特別引出権(SDR)の発行、外部からの借入を通して資金調達を行っています。

(3)能力開発

能力開発とは、開発途上国や財政難に陥っている国の人材育成や能力アップを目的とした活動を指します。

プログラムには、経済・金融・財政などの分野における専門知識やスキルを身につけるための教育やトレーニングプログラム、国家統計システムの強化、財政統計の収集・分析などが含まれます。

IMFのオンラインラーニングはコロナウイルスによるパンデミック下で急速に拡大し、受講者数は11万人を突破しています。

3、世界経済見通し(WEO)とは

世界経済見通し(World Economic Outlook)は、国際通貨基金(IMF)が定期的に発表する世界経済の見通しに関する報告書です。
世界経済の成長率や通貨状況、政策などについての評価、国際金融政策や地域経済についても詳しく分析されています。

この報告書では、政策立案や投資などに役立つ情報の記載もあるため、政府や企業など幅広い関係者が注目しています。

(1)2022年10月に発表された世界経済見通し

2022年10月、IMF総会が開催された後、世界経済見通しの最新版が公表され、内容は以下の通りになっています。

世界経済活動は広範にわたり、かつ当初予想より大幅に鈍化 している。物価は数年ぶりの高水準を上回っている。生活費の危機や、大半の地域で見られる金融環境の引き締まり、ロシアのウクライナ侵攻、長引く新型コロナウイルスのパンデミックがすべて、経済見通しに重くのしかかっている。世界経済の成長率は、2021年の6.0%から2022年には3.2%へ、2023年は2.7%へ鈍化する見込みである。世界金融危機と新型コロナのパンデミックが深刻だった一時期を除いて、2001年以降で最も弱い成長の推移となる。

引用)
IMF世界経済見通し

引用にも記載がある通り、IMFが公表した最新の世界経済見通しでは、2023年以降の経済は低下することを示唆しています。

米国の政策金利の上昇をはじめとした、各国の金融環境の引き締めやウクライナ侵攻によるロシア国内の経済の混乱が世界経済へ波及することが2023年以降の経済停滞の予測の根拠として挙げられています。

なお、世界経済見通しは1年に4回公表され、次回の発表時期は2023年4月頃です。

4、まとめ

今回は「IMF」について解説しました。

IMFは、世界の金融危機を防ぐため、国際通貨のバランスを保つため、そして、開発途上国の経済発展を支援するために設立された国際機関です。

IMFによって定期的に発表される世界経済見通しでは、世界各国の経済状況や将来の見通しの分析が記載されます。
世界経済見通しには今後も注目していく必要がありそうです。