政治ドットコム内閣その他の職務人事院とは?国家公務員の人事を管理する第三者機関について簡単解説

人事院とは?国家公務員の人事を管理する第三者機関について簡単解説

投稿日2020.11.13
最終更新日2020.11.25

人事院とは、国家公務員の人事を管理する中立的な立場にある第三者機関です。
中立的であることによって、公平公正な人事管理が可能となっています。

今回は

  • 人事院の概要
  • 人事院の構成
  • 人事院の仕事内容

についてご紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。

※2020年11月時点

1、人事院とは

人事院
人事院とは、主に国家公務員の人事を管理する第三者機関です。
人事院が設けられている理由の1つは、国家公務員が特殊な労働者であるからです。

国家公務員は一般の労働者とは異なり、労働基本権の一部が制約されています。
労働基本権とは、以下の3つの権利です。

  • 団結権
  • 団体交渉権
  • 争議権

この労働基本権により、労働者は雇用主に対して、何か不服なことがあれば、団結して交渉することができます。

労働基本権についてより詳しく知りたい方は以下の関連記事も併せてご覧下さい。

労働基本権とは?概要や公務員に適用されるのか簡単解説

労働基本権とは、労働者の立場を守り、健全な労働環境を維持するための基本的な権利です。 労働基本権は国の最高法規である憲法によって定められています。 しかし、これだけでは、労働基本権がどんな権利なのかわからないですよね。 そこで今回は 労働基本権を支える3つの権利 公務員と労働基本権 ILO(国際労働機関)条約との関係 について分かりやすく解説していきます。...

国家公務員そのものについてより詳しく知りたい方は以下の関連記事も併せてご覧下さい。

国家公務員とは?地方公務員と何が違う?人事院や試験についても解説

国家公務員とは、日本国憲法第73条で規定されている「官吏(かんり)」のことであり、国民に仕える公務員です。 今回は 国家公務員と地方公務員の違い 国家公務員の種類 国家公務員試験 などについて解説します。 本記事がお役に立てば幸いです。 1、国家公務員とは? 国家公務員とは、憲法により定められた国民に仕える公務員のことです。 明治憲法下では天皇に仕える...

一方で国家公務員を含む公務員は、日本国憲法で「全体の奉仕者」として働くことが求められているので、労働基本権が制約されているのです。

これは、公務員が突然ストライキなどをしてしまうと、行政サービスに影響が出かねないためです。
しかしそのままでは、国家公務員は、雇用主である国に対し立場が弱くなってしまいます。

そこで人事院を設置することで、労働者としての国家公務員の立場を確保しているのです。

また人事院は、内閣が所管しています。
内閣とは、総理大臣とその他の大臣で構成される、行政における最高機関のことです。
人事院

画像出典:人事院

人事院には、主に次の3つの役割があります。

  • 人事行政における公正性の確保
  • 労働基本権制約の代償機能
  • 人事行政の専門機関

1つずつ確認していきましょう。

(1)人事行政における公正性の確保とは

人事行政とは、行政における人事管理のことを指します。
当たり前ですが、人事行政は公正(偏りがなく正当であること)に行われなければなりません。

人事院では、この人事行政の公正性を確保するため

  • 採用試験を実施
  • 任免の基準を設定
  • 研修

などを行っています。

(2)労働基本権制約の代償機能とは

公務員の労働基本権の制限に対する代償措置として、人事院は国(国会と内閣)に対し、勤務条件の改定などについて勧告します。

勧告とは「こうしたほうがよい」とすすめることです。

したがって勧告は命令や指示といった強制力はありません。

(3)人事行政の専門機関とは

人事院の人事行政の対象は国家公務員のみとなります。
しかし、地方公務員を雇用している地方自治体は人事院の人事行政を参考にしています。

そのため人事院は、公務員人事行政の見本のようなものとなります。

人事院は人事行政の専門機関として、国内外の人事制度を調査研究し、より適切な人事施策を展開しています。

参考:人事院

2、人事院の組織

続いて人事院を構成している部署や、それぞれの部署の役割について解説します。

人事院

画像出典:人事院

(1)人事官

人事院には

  • 狭義の人事院
  • 広義の人事院

の2つの意味があります。

狭義の人事院は、3人の人事官だけで構成されています。法律上は、狭義の人事院が「正式な人事院」です。

人事官の3人は、総裁1人、一般の人事官2人となっています。
しかし、この3人だけですべての国家公務員の人事行政を執り行うことはできません。

そこで人事官の下に事務総局という事務部門を置いています。
事務総局の下には、さまざまな局や課があり、これらを合わせて広義の人事院としています。

役所としての人事院(広義の人事院)は、人事官と事務総局を合わせたものになります。

広義の人事院

(役所としての人事院)

狭義の人事院

(正式な人事院)

3人の人事官

(うち1人は総裁)

事務総局
さまざまな課や局

 

(2)事務総局(事務総長)

事務総局には事務総長がいます。
事務総長は、人事院の職員のトップになります。
人事院全体を管理することが仕事です。

(3)官房部局

官房部局は

  • 総務課
  • 人事課
  • 会計課
  • 企画法制課
  • 国際課
  • 公文書監理室
  • 情報管理室

で構成されます。

人事院自体も組織なので、組織内の総務や人事や会計を行う必要があります。
そこで一般の企業と同じように総務課、人事課、会計課などが存在しているのです。

企画法制課では、人事院の業務に関わる法令を取り扱っています。
官房部局では、その他に人事や給与の電子化や統合調整業務を担っています。

(4)職員福祉局

職員福祉局では、適切な人事行政を図るための幅広い業務を行っています。
具体的には以下のような仕事です。

  • 勤務時間、休暇、休業に関する規則をつくる
  • 職員の仕事と育児・介護の両立を支援するよう周知し、活用の促進を図る
  • 健康、安全、公務災害補償に関する制度をつくる
  • 各府省に対し、セクハラなどのハラスメント防止について指導する
  • 国家公務員全体の勤務条件を整備する
  • その他、職員の服務に関する事務、職員団体に関する事務、給与簿の検査など

(5)人材局

人材局は、国家公務員の

  • 採用
  • 昇任
  • 身分保障
  • 人材育成

などに関わる業務を担っています。採用については、後段で詳しく解説します。

現代の国家公務員は専門分野に特化するだけでなく、社会と経済の変化や国際化、高度情報化に対応できなければなりません。

そのような人材をつくる人材局の果たす役割は大きいといえるかもしれません。

(6)給与局

給与局は、民間企業の給与を調査して、国家公務員の適切な給与の額を求め、国に勧告する部門です。

ひと口に給与といってもその内訳には

  • 俸給
  • 手当
  • 規則
  • 職務評価

などがあるのです。

そこで給与局では、各府省で統一性を図りながら、適正かつ妥当な給与の仕組みを構築していきます。
給与局ではさらに、国家公務員の高齢期の雇用問題にも対応しています。

(7)公平審査局

公平審査局は、所属する組織から不利益が生じる扱いを受けた国家公務員が、その取り扱いに不服がある場合に審査を行う部門です。

不利益が生じる扱いとは

  • 降任(降格)
  • 免職
  • 懲戒処分

などのことです。

審査後に判定を下すことから、公平審査局は「準司法的な部署」と考えられています。
公平審査局はさらに、国家公務員から苦情や相談を受け付け、あっせんなどを行って問題の解決に努めます。

参考:人事院

3、人事院は具体的にどのような仕事をしているのか

人事院
人事院の仕事である

  • 国家公務員の採用
  • 人事勧告
  • 職員任免や育成、勤務環境の調整

について解説していきます。

(1)国家公務員の採用

人事院は、国家公務員の採用に関する業務を行っています。
国家公務員の採用試験の作成、実施するのも人事院です。

国家公務員の採用は、行政の運営に関わる人を確保することなので、採用方法は厳格かつ公正でなければなりません。

人事院はさらに

  • 採用候補者の名簿管理
  • 官民の人事交流

などを行います。

その他、任用制度や職員研修の

  • 企画立案
  • 運用
  • 実施

を手掛けます。

(2)人事院勧告

人事院勧告とは、給与局が国会と内閣に対し、国家公務員の適切な給与額を勧告することです。
人事院勧告で最も重視されるのは「民間準拠」です。

民間準拠とは、国家公務員の給与水準を民間企業の給与水準と均衡させることをいいます。
もし内閣が人事院勧告を受けると、勧告内容を実行するために必要な関連法案を国会に提出します。

国会での審議を経てその法律が成立すれば、人事院勧告の内容が実現することになります。

参考:給与勧告の仕組み

(3)職員任免や育成、勤務環境の調整

人事院は、国家公務員がさまざまな立場になるときのルールを定めています。

国家公務員は、同じ府省にいたとしても

  • 異動
  • 昇任
  • 降任
  • 転任
  • 配置換え
  • 併任

などによって所属先や立場が大きく変化します。

また、以下のような派遣対象になれば、国の組織とは異なる場所で働くこともあります。

  • 民間企業に一時的に移行する官民人事交流
  • 国際機関への派遣
  • 法科大学院への派遣

参考:人事院

まとめ

人事院は、国という巨大な組織の人事部のような存在です。
国家公務員を活用していく仕組みや、国家公務員が快適に働ける環境づくりを行っているのです。