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官僚とは?政治家との違いや仕事内容・年収等について簡単解説

投稿日2022.9.13
最終更新日2024.02.09

「官僚」とは、中央省庁に勤務する国家公務員を指し、日本の政治に直接関わる業務を担っています。

今回は

  • 官僚の概要
  • 具体的な仕事内容
  • 官僚の年収

について解説します。

1、官僚とは?

官僚制

官僚とは、広義の意味では「中央省庁に務める国家公務員」のことを指し、狭義の意味ではその中でも国の法律や政策決定に影響力を持つ立場にあたる国家公務員を指します。

専門知識を活かして法案や予算案の作成などを行うことで、政策を形にしていくことが官僚の主な役割です。

それでは

  1. 「キャリア」と「ノンキャリア」とは
  2. 官僚と政治家の違い

についても解説していきます。

(1)国家公務員でも異なる「キャリア」と「ノンキャリア」

「キャリア」と「ノンキャリア」という言葉を聞いたことはありませんか?
「キャリア」とは、国家公務員採用総合職試験に合格し、中央省庁に採用された人のことを指します。

対して「ノンキャリア」とは、上記の試験以外の国家公務員試験に合格して、中央省庁に採用された人を指します。

一般的にキャリアと呼ばれる人を世間では官僚と呼ぶことが多いです。
ただし官僚という言葉に厳密な定義は存在しません。

参考:人事院 国家公務員試験

(2)官僚と政治家の違い

官僚と政治家の違い

官僚と政治家を混同してしまう人も多いかもしれません。
官僚と政治家とでは、選ばれ方や業務内容、役割が異なります。

先程も説明した通り、「官僚」とは国家公務員試験に合格し、省庁に採用された人達です。
対して、「政治家」とは選挙によって国民に選ばれた人物(国会議員)を指します。

政治家は、立法を担う「国会」に属し、表立って政策を国民に訴え、それを実行していく役割があります。
そのため、国会に出席して法律の制定などを話し合います。

一方で官僚は、行政を担う「内閣」に属し、政治や経済に関する専門知識を活かし、国会で定められた法律に基づいた実務を行います。

次章で更に詳しく官僚の仕事について見ていきましょう。

2、官僚の仕事内容

官僚の勤務先は、国の行政の中心にあたる機関「中央省庁」です。
「中央省庁」には

  • 内閣府
  • 総務省
  • 外務省
  • 法務省
  • 財務省

などがあります。

そのため、官僚の仕事は日本の中枢を担うと言えるかもしれません。
では具体的にはどんな仕事をしているのでしょうか。

担当する省庁によっても異なりますが、基本的な仕事内容は

  1. 法案の作成
  2. 予算案作成

です。

(1)法案を作成する

法律のべースである「法案」を作成することは、官僚が行う仕事のひとつです。

三権分立の考えからすると、立法を行うのは国会なので、内閣である省庁の官僚が法案を作ることに疑問を感じるかもしれませんが、法案の作成は具体的な行政業務に当たります。

まず法案の元となる原案を各省庁の官僚が作成します。
そして、原案は内閣法制局において審査され、内閣で閣議決定されることで法案として国会に提出されます。

ただ国会議員が法案を提出することもあり、その場合は上記のようなプロセスを辿りません。
参考:内閣法制局

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(2)予算案の作成

国家予算の原案を作るには、内閣による予算編成の基本方針の決定からスタートします。
その後、財務省がそれぞれの省庁にあらかじめ予算(各省庁が必要な費用のこと)の上限を設定します。

各省庁の官僚は上限額を踏まえながら、概算要求書(見積もりのこと)を作成し、財務省に提出します。

そして財務省の官僚が、省庁ごとに預かった概算要求及び内閣が決めた方針を調整し、財務省原案としてまとめます。

これが国家予算の原案となります。
参考:財務省

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3、官僚の年収

官僚年収
官僚は国家公務員なので、年収額は「俸給表」によって決められています。

一般的な官僚は「行政職俸給表(一)」、警視総監や財務官などの特に重要なポストについている官僚は「指定職俸給表」に基づいて支給されます。

ちなみに俸給表とは、法律に基づいて策定された、階級ごとの給料が一覧になった表です。

(1)具体的な年収

官僚の初任給は約24万円前後です。
年収にすると約350万円程度となります。

その後も、係長クラスなら年収400万円程度と、官僚だからといって一概に高給取りというわけではないようです。

ですが、出世して階級が上がれば年収面も大きく変わります。
課長クラスからは年収約1,000~1,400万円、審議官は約1,500~1,800万程度と変化が見られます。

高級官僚ともなると局長クラスが約1,800万円程度、官僚トップとなる事務次官は約2,500万円程度と言われています。

ちなみに、勤務時間や休日は国家公務員と同じサイクルです。

勤務時間は平日8時30分から17時15分ですが、霞ヶ関で働くキャリア官僚の中からは、月の残業時間が200~300時間になることもあり、激務であるとの訴えも出ているようです。

参考:NHK この春霞ヶ関やめました

参考:人事院

4、官僚(キャリア)になるには?

日本全体をサポートする役割をもつ官僚ですが、そんなやりがいのある仕事を担う官僚になるためには、どういった手順を踏めばよいのでしょうか。

官僚になるには

  • 国家公務員試験に合格する
  • 官庁訪問をして採用される

という2つのステップを踏む必要があります。

(1)国家公務員試験

官僚になるための第1ステップは、「国家公務員試験」に合格することです。

国家公務員試験の主な試験は

  • 一般職試験
  • 総合職試験
  • 専門職試験

の3つがあります。

このうち、キャリア(狭義の意味)と呼ばれる官僚を目指す場合は「総合職試験」を受けなければなりません。

試験合格後、中央官庁に採用されれば、本省勤務や海外留学、地方勤務など他省庁への出向などを経て、昇進していきます(全ての人に必ず昇進が約束されている訳ではありません)。

①国家公務員採用総合試験(総合職試験)とは

国家公務員採用総合試験は

  • 大卒程度試験
  • 院卒者試験

という2つの試験が実施されており、それぞれ大卒・院卒の要件を満たす必要があります。

参考:人事院

ともに一次試験は、多肢選択式で、基礎能力試験と専門試験があります。

二次試験は、記述式で、専門試験・政策課題討議試験・人物試験の3つがあります。
また、TOEFL(iBT)、TOEIC等の英語試験の結果に応じて加点がされます。

倍率は年度によって多少変化するものの、2020年では

  • 大卒程度試験がおおよそ12.3倍
  • 院卒者試験がおおよそ3.5倍

となっています。

参考:2020年度国家公務員採用総合職試験の合格者発表

②受験資格

国家公務員採用総合職試験の受験資格の要件は、年齢と学歴です。

学歴要件と30歳を上限とする年齢要件を満たしていれば、どんな大学を卒業していても、一度民間企業に就職した人でも受けられます。

しかし、非常に難易度の高い試験であるため、勉強時間が確保しにくい社会人にとって働きながら合格することは決して容易ではないといえるでしょう。

参考:人事院・国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)

(2)官庁訪問による採用

国家公務員採用総合試験に合格すれば即官僚になれる、というわけではなく、試験合格はあくまで官僚として採用される権利を得ただけです。

実際に働くためには、希望省庁へ訪問し、面接を受け、採用されなければなりません。

ここまできてようやく、官僚としての一歩を踏み出せるのです。

参考:人事院

5、女性官僚の採用率

まだまだ女性官僚の割合は少ないものの、近年では積極的に女性登用に力を入れており、女性国家公務員の採用率は上昇傾向にあります。

2020年4月時点では、国家公務員として採用された総合職のうち女性の割合は前年よりも高い35.4%となっています。
官僚女性登用率

画像出典:内閣官房

全体をみても36.8%と、どちらも増加傾向にあります。
府省庁別に、官僚採用の女性登用状況の割合を見てみると

  • 法務省は20.6%
  • 外務省は29.5%
  • 内閣府は20.2%

となっています。
官僚

出典:内閣官房女性国家公務員の登用状況

女性官僚の採用率の増加によって、より多様性のある環境整備が進んでいくかもしれません。

参考:内閣官房

官僚に関するQ&A

Q1.官僚とは?

官僚とは、広義の意味では「中央省庁に務める国家公務員」のことを指し、狭義の意味ではその中でも国の法律や政策決定に影響力を持つ立場にあたる国家公務員を指します。

専門知識を活かして法案や予算案の作成などを行うことで、政策を形にしていくことが官僚の主な役割です。

Q2.官僚の仕事内容は?

担当する省庁によっても異なりますが、基本的な仕事内容は

  • 法案の作成
  • 予算案作成

です。

Q3.官僚(キャリア)になるには?

官僚になるには

  • 国家公務員試験に合格する
  • 官庁訪問をして採用される

という2つのステップを踏む必要があります。

まとめ

今回は、官僚についてご紹介しました。

官僚は、国のはたらきに直接関わる重要な役職であり、昼夜その圧倒的な知識と経験を基に国政のサポートをしています。

国の発展のために、官僚の存在は必要不可欠であると言えます。
本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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