政治ドットコム経済労働36協定とは?概要や手続き方法・2021年の改正点を簡単解説

36協定とは?概要や手続き方法・2021年の改正点を簡単解説

投稿日2021.5.31
最終更新日2021.05.31
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

36協定とは、時間外労働と休日労働に関する協定です。

労働時間が特定の基準を超える場合には、労働者と使用者の間で36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

本記事では

  • 36協定の概要
  • 36協定の対象となる労働条件
  • 36協定の手続き
  • 2021年の改正点

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、36協定とは?

36協定
36協定とは、時間外労働と休日労働に関する協定です。
労働基準法の第36条に定められている協定のため、36(サブロク)協定と呼ばれます。

36協定の正式名は「時間外・休日労働に関する協定届」です。

労働時間が労働基準法で定められている基準を外れる場合に、労働者と使用者の間で協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

ここでは36協定における

  • 対象となる労働
  • 限度時間
  • 特別条項

について見ていきましょう。

(1)36協定の対象になる労働

36協定の対象になる労働は

  • 法定労働時間
  • 法定休日

を超えた労働です。

法定労働時間とは

  • 1日8時間
  • 1週40時間

以内の労働を指します。

法定休日は、少なくとも毎週1回です。
これらの条件を超えた労働は36協定の締結が必要になります。
36協定

画像引用:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 厚生労働省

(2)36協定における限度時間

36協定を締結した場合、時間外労働の上限(限度時間)が定められます。

36協定の時間外労働の上限は

  • 月45時間
  • 年360時間

です。

特別な事情があり、労働者と使用者が同意している場合は「特別条項」が適用されます。

(3)36協定の特別条項

特別条項とは、臨時的に両者の合意のもとで、上限なく時間外労働を許容するという条項です。
製品トラブルや大規模クレームなど、一時的または突発的に労働力が必要となる場合に適用されます。

特別条項が適用されても、使用者は以下の項目を守る必要があります。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休⽇労働の合計は⽉100時間未満
  • 時間外労働と休⽇労働の合計は、2~6⽉間の各平均がすべて80時間以内
  • 時間外労働が⽉45時間を超えるのは年6か⽉まで

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 厚生労働省

これらの項目を守らない使用者には、6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦が科されれます。

また、特別条項の有無にかかわらず、使用者は1年を通して、労働者の時間外労働と休⽇労働の合計を⽉100時間未満、2〜6か⽉平均80時間以内に収める必要があります。

36協定画像引用元:36協定届の記載例(特別条項) 厚生労働省

2、36協定の手続き|どのような手続きが必要なのか

36協定の手続きは以下の順で進みます。

  1. 労働者代表の選出
  2. 労働者代表と使用者の話し合いによる36協定の締結
  3. 労働監督署へ締結内容を提出

それぞれの手順について解説していきます。

(1)労働者代表の選出

36協定を締結するためには、まず労働者代表を選ぶことが必要です。

労働者代表とは

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • 労働者の過半数を代表する者

を指します。

代表は労働者が選び、雇用者が指名することはできません。

また、

  • 部長
  • 工場長
  • 支店長

など管理監督者である者は労働者の代表になることはできません。

参考:過半数代表者の適切な選出手続きを 厚生労働省

(2)労働者代表と使用者の話し合いによる36協定の締結

36協定の締結に向けて、労働者の代表と使用者が話し合いをします。
労働者代表が確認すべき主な項目は、以下の通りです。

  • 時間外労働をさせる必要のある具体的事由
  • 休日労働をさせる必要のある具体的事由
  • 業務の種類
  • 1日の所定労働時間
  • 協定の有効期間

参考:時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引 厚生労働省

(3)労働監督署へ締結内容を提出

36協定の締結後、締結内容を協定届(本様式)に転記し、労働基準監督署へ提出します。
時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」は厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。

最寄りの労働基準監督署は、厚生労働省の「全国労働基準監督署の所在案内」から確認できます。

3、2021年における36協定の新様式について

36協定
2021年4月から、働き方改革を推進するため、36協定の様式が新しくなりました。

主な変更点である

  • 押印、署名の廃止
  • チェックボックスの設置
  • 本社一括申請の適用
  • 電子署名、電子証明書の廃止

について解説していきす。

(1)押印、署名の廃止

36協定の届け出に必要だった、押印と署名が廃止されました。
ただし、36協定と36協定届を兼ねる場合(協定届に協定書としての役割を持たせる場合)は、押印と署名が必要です。

(2)チェックボックスの設置

36協定における、労働代表者に関するチェックボックスが新設されました。

具体的には

  • 代表者が管理監督者ではないか
  • 36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手等の方法で選出されたか
  • 使用者の意向に基づいて選出された者でないか

などの項目がチェック欄に記載されています。

参考:36協定届が新しくなります 厚生労働省

(3)本社一括申請の適用

複数の事業所の協定を一括で、労働基準監督署に届けられるようになりました。
以前は事業所ごとに協定を締結する必要があり、その都度協定を届け出る必要がありました。

今回の変更により、代表者が異なる事業所であっても、本社で1度にまとめて届出が可能になります。
ただし、一括申請は電子申請に限られるため、郵送で届け出る場合は注意しましょう。
36協定

画像引用:労働基準法・最低賃金法など に定められた届出や申請は電子申請を利用しましょう! 厚生労働省

(4)電子署名、電子証明書の廃止

今回の変更で、電子申請時に必要であった

  • 電子署名
  • 電子証明書

が不要になりました。

e-GOVにアカウント登録し、フォーマットに必要事項を入力するだけで、36協定を届けられるようになりました。

e-GOVについてはこちらの記事で更に詳しくご紹介しています。

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まとめ

今回は36協定について解説しました。

長期間の残業や休日出勤が想定される場合は、36協定をしっかりと締結することが肝要です。

2021年の新様式により、より届け出しやすい形となったので、積極的に活用していきたいですね。